藤原伊織さん
2007/05/18 益田 康之

昨日の夕刊に藤原伊織さんの死亡記事が載りました。
私が初めて読んだ彼の作品は「ひまわりの祝祭」でした。
「ひまわり」は、ゴッホの「ひまわり」を意味していると知り、
当時、絵を見ることに興味を覚え始めていたので、
特にゴッホが好きなわけではなかったのですが、
どういう風に有名な「ひまわり」がからむのか知りたくて
単行本を買い求めました。
作家の顔写真から少し暗い内容かと思ったのですが、
主人公と近所の若者との会話が、ボケとツッコミの
掛け合い漫才のようで、メリハリの効いた台詞が、
読んでいて非常に気持ち良かったのです。
ここら辺は作家が大阪出身であることの面目躍如と
いった感じです。「ひまわり」も確かな構成の中に組
み込まれていて、本筋も大いに楽しめました。
続いて、江戸川乱歩賞と直木賞を史上初めてダブル
受賞して話題となった「テロリストのパラソル」を読み
ましたが、テロリストの人物描写が納得できるもので、
この作家の本は全て読んでみようと思いました。
そう思えたのも作品数が極端に少ないからです。
寡作である理由の一つは、電通のサラリーマンとの
二足の草鞋を履いていたからかもしれません。
同じサラリーマンとして勇気付けられたような気もしました。
もう一つ好きな作品に「てのひらの闇」があります。
これは不気味な暴力が描かれていて、私にはハードボイ
ルド過ぎたのですが、やはり主人公の傑作な思考回路と、
しっかりした物語の構成で読ませます。
享年59歳。
若い優れた才能の夭折を悼みます。
益田
