2007/05/24 益田 康之

連れ合いが、3日前に友人から花菖蒲を頂きました。
一瞬見たときは、葉っぱだけが目立ち、
今夜は菖蒲湯かなと思いました。
菖蒲と花菖蒲は全く異なるものらしいですが、
私には花が咲かないと区別がつきません。
いづれにしても、その凛とした姿が、こちらの背骨まで
真っ直ぐにさせてくれるように感じます。
子供の頃は、菖蒲は「尚武」に通じるということで、
端午の節句では必ず飾ったものでした。
菖蒲湯も、当時は内湯などなく、銭湯の大きな湯船に
紐で括った束が浮かんでおり、馬乗りになって遊んだのを
覚えています。
我が家の花菖蒲は、細く巻かれていた花弁がたちまち開いて、
葉や茎に比べて、どこなくはかなげな薄紫の姿を
見せてくれています。
2007/05/20 益田 康之

昨夜、テレビで「博士の愛した数式」が放映されました。
原作は4年前に、本屋さんが薦める本ベストワンに選ばれています。
私も、この宣伝文句に惹かれて読みましたが、
すっかり感情移入してしまいました。
博士が、大変な阪神ファンだというのも
心地良くさせてくれる要因です
(他のチームのファンでも楽しめる小説であることは
保証いたします)。
原作があまりに素晴らしかったので、映画を見に行きました。
大抵は自分のイメージと違ってがっかりするのですが、
映画も良いできで楽しめました。
特に博士の家の台所がアイランドキッチンになっていたのには、
この舞台をデザインした人の発想の柔軟さに感心しました。
原作の最後の一節は
「縦縞のユニフォームの肩越しに背番号が見える。完全数、28」
だったと思います。
これで理科系人間の血が騒いだのでしょうか。
続けて「素数の音楽」を読みました。
数学の本としてではなく読み物として面白く、
勢いで「素数に憑かれた人たち」にも挑戦しました。
こちらは最後のほうで難しくなって、
私のレベルでは理解不能になってしまいました。
この2冊を読んで思ったのは、
大数学者といわれる人達は、ある種の空間認識が
異常に優れているのではないかということです。
数式を見て絵を思い浮かべる事ができるのではないでしょうか。
テレビを見ていて、そんな数学者の頭の中に想いを巡らしました。
2007/05/18 益田 康之

昨日の夕刊に藤原伊織さんの死亡記事が載りました。
私が初めて読んだ彼の作品は「ひまわりの祝祭」でした。
「ひまわり」は、ゴッホの「ひまわり」を意味していると知り、
当時、絵を見ることに興味を覚え始めていたので、
特にゴッホが好きなわけではなかったのですが、
どういう風に有名な「ひまわり」がからむのか知りたくて
単行本を買い求めました。
作家の顔写真から少し暗い内容かと思ったのですが、
主人公と近所の若者との会話が、ボケとツッコミの
掛け合い漫才のようで、メリハリの効いた台詞が、
読んでいて非常に気持ち良かったのです。
ここら辺は作家が大阪出身であることの面目躍如と
いった感じです。「ひまわり」も確かな構成の中に組
み込まれていて、本筋も大いに楽しめました。
続いて、江戸川乱歩賞と直木賞を史上初めてダブル
受賞して話題となった「テロリストのパラソル」を読み
ましたが、テロリストの人物描写が納得できるもので、
この作家の本は全て読んでみようと思いました。
そう思えたのも作品数が極端に少ないからです。
寡作である理由の一つは、電通のサラリーマンとの
二足の草鞋を履いていたからかもしれません。
同じサラリーマンとして勇気付けられたような気もしました。
もう一つ好きな作品に「てのひらの闇」があります。
これは不気味な暴力が描かれていて、私にはハードボイ
ルド過ぎたのですが、やはり主人公の傑作な思考回路と、
しっかりした物語の構成で読ませます。
享年59歳。
若い優れた才能の夭折を悼みます。
益田