2010/04/17

GM キャデラック CTSスポーツワゴン


スポーティーで高級なステーションワゴン


引き締まったボディーラインが印象的

 アメリカの高級車といえば、まずキャデラックである。
 歴代大統領が乗るリムジンも、キャデラックと決まっている。

 そのキャデラックでもっとも小型なのが、CTSである。
 現在は、その2代目となっている。

 そして今回紹介するのは、CTSのスポーツワゴンだ。
 いわゆる一般的なステーションワゴンと異なるのは、
4ドアセダンと同じ大きさでありながら、後席後ろに荷室
を設けたスタイルであり、利便性を追求したというより、
たまに荷物を積みたいときにも、やはり高級車のキャデ
ラックを選びたいという人のためのクルマである。


特徴のある縦長のリアコンビランプ

 写真で見るより実物のキャデラックCTSスポーツワゴンは、
全体がアスリートのように引き締まった姿にまとまり、
実用のためのステーションワゴンではないというクルマの
狙いが外観からも伝わってくる。

 一方で、リアハッチゲートを開けると、やはりワゴンだけ
あって荷室は想像以上に広いと感じる。

 よほど家具でも運ぶのなら別だが、ごく一般的にたくさん
の荷物を運びたいという欲求には十分応えてくれる広さだろう。

 運転席に座ると、4ドアセダンのCTS同様に、高級車といえ
どもかなりスポーティーな印象を与える空間となっている。

 メーターがステアリングホイール奥にきゅっと集中して
まとめられ、ダッシュボード中央のスイッチ類の並び方
にも精悍(せいかん)さが感じられる。

現在のアメリカ車を象徴する一台


スポーティーな印象を与える室内

 キャデラックCTSスポーツワゴンには、
排気量3,000ccでガソリン直噴の新V6エンジンと、
3,600ccのV6エンジンが設定されているが、
今回試乗したのは新V6エンジンの3,000ccのほう
である。

 もっとも小型のキャデラックとはいえ、
CTSスポーツワゴンは1.8トン以上の車両重量がある。

 わずか3,000ccのエンジン排気量で事足りるのか
気掛かりだった。

 しかし、それは走り出してから危惧(きぐ)であったと
気付かされる。


想像以上に広い荷室

 アクセルペダルをわずかに踏み込んだだけで、
CTSスポーツワゴンはスッと動き出し、素早く速度に
のせていった。

 しかも、その速度の上がり方がとても心地よい。

 エンジンの力の出し方がとても滑らかで、これに
6速オートマチックのトランスミッションの働きが見事に
調和し、加速をのびやかに感じさせる。

 3,600ccエンジンは運転する機会がなかったが、
この3,000ccエンジンで十分ではないかと思った。

 しかも、この最初の加速段階で、車体のガッシリと
したたくましさや、加速の際の車体の傾きの少なさ、
路面の凹凸の吸収性や、エンジン音含め騒音の
抑えられた様子さえもうかがうことができた。

 そのすべてに、完成された高級車の趣がある。


排気量3,000ccでも心地よい加速

 その後、道路状況に変化があっても乗り心地に
雑な印象は残さないし、速度を上げてカーブを曲がった
際の的確な旋回と、安定した進路の定まり方は、
クルマへの信頼を高め、運転に集中する喜びを与える
のであった。

 いまだ、アメリカ車の運転感覚や乗り心地に疑心暗鬼
の人が多いと思われるが、実際、今日のアメリカ車を
一度でも運転したならば、まさしく目を見張ることになる
はずだ。

 キャデラックCTSスポーツワゴンは、そうした現在の
アメリカ車の価値を象徴する一台に仕上げられている。

                          (読売新聞)


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