2010/10/14

フォルクスワーゲン ポロ GTI 試乗レポート(4/4)




ホットハッチというより”ファストハッチ”


先代から1インチアップした専用17インチホイールの隙間
から、ゴルフGTIにも通ずる赤塗りのブレーキキャリパー
が覗く。またゴルフGTIと同じく、ESPにEDS(エレクトロニ
ック・ディファレンシャルロック・システム)を統合した「XDS」
を採用。FF車の宿命といえるアンダーステアを効果的に
抑え込んでくれるという。


車格やスペック的に近い「MINIクラブマン・クーパーS
(6AT=180ps/24.5kg-m、15.6km/L、334万円)」
と並べてみる。両モデルは同じ独製ホットハッチながら、
キャラクターや走り味の特性には大きな隔たりがある。
MINIが“いわゆるゴーカートフィールで、痛快というスリ
ルを味える”としたら、ポロGTIは“めっぽう速いが、何か
が起きることを未然に防ぐ安心感”があるのだ。


 実際、短い時間の試乗ではあったのだが、
しかし走り終わった後の充足感は相当なものだった。

 従来のコンパクトカーあるいはホットハッチといった
範疇には括れない走りの圧倒的なつくり込みや
クオリティはファーストインプレッションを裏切ることなく、
その濃厚さに最後まで圧倒され通しだったと言っていい。

 今や気にしないわけにはいかない燃費も、
10・15モードで16.6km/リッターと、
実に先代の26%アップを実現。

 動力性能から考えても抜群に優れている。

 この点でも尻込みさせる要素は無い。
しかし敢えて言えば、洗練と表裏一体とも言える
ホッチハッチ的な匂いの薄さには両刃の剣的な面もあって、
自らの手でクルマを御するよろこびは、
それほど強くはないのも事実だ。

 クルマがひたすらに速く、安定していて、
失敗しても電子制御がさりげなく手を差し伸べて
くれるからで、その意味ではホットハッチというよりは
“ファストハッチ”と呼んだ方がしっくり来る気も
しないではない。まあ、贅沢な悩みである。

 それよりむしろ議論を呼びそうなのは
価格設定の方かもしれない。

 車両本体価格は294万円。

 これだけ円高で騒がれている今、
先代の5ドアが258万円、
3ドアなら237万円だったことを考えると、
いくら性能が上がっているとは言っても、
にわかには受け入れ難い感はある。

 ゴルフGTIが368万円だと考えれば、
そんなところかもしれないが、
いずれにせよフォルクスワーゲンは、
普及モデルは戦略価格なのに、
この手のモデルの値付けはどれも強気だ。 

 しかしながら、
このあらゆる意味でのクオリティの高さ、
DSGの搭載による間口の広がりは、
きっと多くのユーザーを惹き付けることになるのだろう。

 昨年比39%増の登録台数を記録するなど
目下絶好調のフォルクスワーゲンの勢いを、
年末に向けて更に加速させること必至の
ニューカマーの、いよいよの登場である。

              (カービュー)

関連URL : http://pologti.jp/#/top


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