2011/03/06

ミニ・クロスオーバー










クーパーSオール4の試乗車は、注文装備の18インチ径扁平タイヤが装着されている










排気量1,600ccのエンジンは、ターボチャージャーの過給により最高出力184馬力









リアハッチバックのゲートは、リアバンパー上から大きく跳ね上がる









注文装備の電動ガラスサンルーフは、前後とも後端がチルトアップして換気に役立つほか、前のガラスはスライディングルーフとして開放することもできる










ミニ独特の運転席周りのデザイン。ダッシュボード中央に大きな速度計が設置されている











後席は左右に分割式で、1人掛け。左右座席の間に、小物置き場となるアルミ製レールが少し見える








小物置き場となるアルミレールには、アタッチメントを介することで様々な物を床に落とすことなく載せておくことができる

乗り降りが格段に楽に

 ドイツBMW社のミニに、ミニ・クロスオーバーという新しい車種が加わった。仲間とアウトドアを楽しみに行きたくなるような、そんな遊び心を感じさせるクルマだ。

 ミニは、2ドアでハッチバックの姿が、イギリスで生まれたオリジナルの時代からの基本で、これに幌を備えたオープンカーのミニ・コンバーチブル、そして荷室を広くとったミニ・クラブマンを加えたものが、これまでの車種構成だった。このうちミニ・クラブマンは、車体の右側にのみ後ろのドアを持つ3ドア車である。

 新車種のミニ・クロスオーバーは、ミニとして初めての4ドア車だ。とはいっても、後ろにハッチバックを持つ2ボックスカーの形態は変えていない。そして、4ドアになることで、後席への乗り降りが格段に楽になった。車体は全高が1.5メートル以上あり、車高が低いために潜り込むように着座したミニとは違って、この点でも乗り込みやすい。

 後席は足元が十分に広く、座席が運転席と同じ1人ずつ掛ける形なので、きちんとした姿勢で腰を落ち着かせることができる。これは2+2(ツー・プラス・ツー)と一般に呼ばれる前後の座席配置だが、オプションで後席を3人掛けのベンチシートに変えられる。ちなみに価格に変わりはない。

 車体全長は、4メートルを少し超えてミニでは最長だが、それでも十分に小ぶりな車体は、都会を走るのに便利な大きさだ。

スポーティーな車種を運転する気分

 運転席に座ると、目の前にはエンジン回転計があって、速度計は、運転席と助手席の真ん中のダッシュボード上にある。これはミニ共通だ。中央の速度計はすごく大きな表示だが、実はあまり見やすくはない。このため、ドライバー正面のエンジン回転計の中に、デジタル式の速度表示が表れるようになっている。

 試乗したのは、ミニ・クロスオーバー「クーパーSオール4」という最上グレードで、ミニ初の4輪駆動車でもある。今回試乗はしていないが、ミニ・クロスオーバー「ワン」、同「クーパー」、同「クーパーS」の3車種は、ミニと同じ前輪駆動のFF車だ。

 クーパーSオール4のエンジンは、排気量1,600ccのターボチャージャー付きで184馬力。トランスミッションは6速オートマチックである。他に、各車種とも6速マニュアルシフトの選択肢もある。

 走行感覚は、文句なく速い。加速中のシフトショックもなく、滑らかに速度が上がっていく様子が心地よい。4輪駆動車ではあるが、悪路走破用というより舗装路を安全に速く走るための機能との位置づけだ。タイヤも、一般的な乗用車用扁平サイズが標準で取り付けられている。乗り心地はやや硬めで、スポーティーな車種を運転している気分を味わえる。

クルマ好きに心地よい室内空間

 左右の座席の間には、アルミ製のセンターレールが前から後ろにつながっていて、2本のレールの間が小物入れとなるほか、アタッチメントを介して色々な機器を取り付けられる場にもなる。アルミという素材を使うことで、単なる小物置き場が、見た目にスポーティーな演出にもなっている。

 もともとミニは、クルマを運転する場としての雰囲気を大切にしてきた車種だが、ミニ・クロスオーバーは室内にいるだけでも楽しい気分にさせてくれる。クルマを持つとか、クルマに乗ることが、こんなにうれしいことであったかと、改めて気づかされる空間がそこにある。演出と言ってしまえばわざとらしさを覚えるかもしれないが、本当にクルマを好きな人が心地よさを覚える空間にまとめ上げられていると感じた。

 荷室は、4人乗りで遠出をするにはやや広さが不足するかもしれない。だが、床下収納もあり、日常的な利用は便利そうだ。

 客室と荷室を分ける隔壁がわざわざ設けられている。これによって室内の静粛性を改善し、 ミニとは違った室内の雰囲気づくりに役立っている。この隔壁は折りたたみ式となっていて、たたむと、後席左右の間を貫き、長いものを室内に置くこともできる。

 ミニが好きだけれど、もう少し室内を自由に使いたい、あるいは、家族が増え、乗り降りも含め後席をより快適にと考える人に最適な新車種追加といえる。

(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atcars/impression/20110201-OYT8T00502.htm


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