2011/05/27

Jeep グランドチェロキー


























































走行時の静かさに驚き


アメリカJeep(ジープ)社のグランドチェロキーは、プレミアムSUV(スポーツ・ユーティリティー・ヴィークル)と位置づけられ、乗用車のような快適な乗り心地を備えた4輪駆動車である。今年2月に発売された新型は、1993年に誕生した初代から数えて4代目となる。

 2代目から、かつての提携先であるドイツのダイムラー社の影響を受けた開発が続けられてきたが、ドイツ流の精緻な仕上がりのよさは4代目でも受け継がれている。そのうえで、これまでより押し出しの強い、いかにもアメリカ車然とした外観デザインは、アメリカ車好きの気持ちをとらえるのに十分だ。

 試乗車は最上級車種のリミテッド。プレミアムSUVとうたうだけあって、走らせてみると日常的な乗り心地の快適さは上級セダンに匹敵する水準と思った。まず静粛性が素晴らしい。

 悪路走行を前提に、滑りやすい未舗装路でもしっかりクルマを前へ進ませることを第一の目的としたSUV用タイヤは、土に食い込みやすいようにタイヤ接地面のゴムがいかつい形をしているため、どうしても舗装路では騒音を発しやすい。

 グランドチェロキーが上質な乗り心地をうたい文句にするといえども、Jeepの一員である以上は悪路での走破力を下げるわけにはいかない。したがって乗用車向けのタイヤを選ぶことはできなかったのだが、それでも、新型グランドチェロキーは乗用車並みの静粛性を実現している。これには驚かされた。

 タイヤを収めるフェンダーの内側をのぞき込むと、タイヤからの騒音や、跳ね石などがフェンダーに当たって生じる音を抑える内張りが施されていた。そのような丁寧な配慮があって、SUVであることを忘れさせるほど静かな室内に仕上がっているのである。

サスペンションは新開発の空気バネ 5段階で車高調整

エンジンは、排気量が3600ccでV型6気筒のガソリン仕様だ。それに5速オートマチックトランスミッションが組み合わされ、タイヤに力が伝達される。トランスミッションには、悪路走行に備えハイ/ローの切り替えができる副変速機を持つ。ローに切り替えると、歩くほどの低速で一定走行しながら、悪路を着実に踏みしめて走ることができる。

 新型グランドチェロキーの車両重量は2200キロもある。だが、286馬力のV6エンジンは力強く、発進もなめらかで、高速道路でも難なく速度に乗せていく。あらゆる速度で室内は静粛であり、快適な移動を満足させてくれた。

 サスペンションは、新開発の空気バネを使った方式で、5段階の車高調整ができる。路面の凹凸の落差が大きい悪路での走行に備え、地面と床の隙間を最大28センチまで広げられる。高速走行では速度が高くなるにしたがい20センチまで自動的に下げる。

 さらに、床が高いSUVでも乗り降りをしやすいようにと、停車しているときには17.5センチまで低くして車高を下げることができる。この一番低い状態にすれば、ルーフキャリアを使って屋根に積んだ荷物も積み降ろしがしやすくなる。

 あとは、通常走行時の車高と、28センチまで床下の余裕を最大に持たなくていいような未舗装路用の計5段階である。

印象深い高速道路での走行安定性

 市街地の舗装路を走行中の乗り心地は、案外硬めのサスペンション設定であることに気付いた。とはいえ、ゴツゴツした振動が体に響くといった悪い印象ではない。硬く感じるけれども体には衝撃を伝えにくく、そこは空気バネの採用により振動をうまく吸収しているのだろう。

 どちらかといえば、しっかり踏ん張っているという安心感の方が強い。カーブなどで車体が傾くことが抑えられているため、運転席の着座位置が高いSUVでありながら、市街地や高速道路で運転する際にふらつかず、安定を保つからだ。空気バネの採用は、乗り心地や走行安定性などあらゆる面で効果が大きいと感じた。

 そのなかでも印象深かったのは、高速道路での走行安定性だ。速度を上げていくほどに安定感が増すように思えた。サスペンションに空気バネを利用することにより、速度が上がると自動的に車高が下がる。つまり重心が低くなることによって安定するのだろう。車高が下がることで空気抵抗も改善され、それは低燃費にも効果が期待できる。

 もちろん、グランドチェロキーは4輪駆動だ。この4輪駆動システムには5つのモード設定があり、砂や泥道/岩場/雪道/舗装路のスポーティー走行/そして道路状況に合わせて自動的にモード切り替えを行うオートの計5つである。運転席脇のコンソールにあるダイヤルスイッチで、モード選択を切り替えられる。

 今回は未舗装路での運転を試せなかったが、デモンストレーション走行でその威力を垣間見た。写真のように、タイヤのいずれかが地面から浮いてしまうような場面でも、着実に前進し、Jeepの一車種として悪路走破性能に文句はなさそうだ。

 燃費は、JC08モードで7.7km/L(リミテッドの場合)ということで、この値は新エンジンの開発により、従来に比べ11%改善されているとのことだ。

 SUVとは、スポーツアクティビティー――すなわちアウトドア活動に便利なクルマの意味だが、プレミアムという上質さをそこに加えたグランドチェロキーは、日常生活でも快適な走りを満たしてくれる万能選手のようなクルマだ。

 

(読売新聞)

http://www.jeep-japan.com/campaign/grandcherokee/


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