2011/06/13

ボルボV60

















































使い勝手と格好良さを両立

ボルボV60は、ボルボ初のスポーツワゴンだ。ボルボと言えばステーションワゴンを思い浮かべるくらい、人気はステーションワゴンに集まっている。今回のボルボV60を、あえてスポーツワゴンと呼ぶ意味は何か?

 ボルボのステーションワゴンの車名の頭に着く「V」は、「融通の利く」「多才な」という意味の英語versatileからきている。人も移動できるし荷物も運べる、使い勝手に融通の利くクルマという意味。スポーツワゴンという呼称には、ステーションワゴンとしての融通性を残しながら、格好が良く、走りも良く、セダンより広さのある荷室を備えた新しいクルマという意味が込められているのだ。

 ボルボV60は3車種ある。まずエンジン排気量によって2種類に分かれ、一つは先に4ドアセダンのS60で登場した排気量1600ccでターボチャージャーにより過給を行う、直列4気筒のガソリン直噴エンジン。もう一つは、排気量が3000ccで、これもターボチャージャーにより過給を行う直列6気筒ガソリンエンジンである。そして、この3000ccエンジンを積む車種に、「Rデザイン」と呼ばれる、専用のスポーティーな室内外の装飾を備えた一台が加わって計3車種となる。

 今回試乗したのはそのRデザインと、1600ccエンジンを搭載するDRIVe(ドライブ・イー)と呼ばれる車種だ。


しなやかな乗り心地、軽やかな運転感覚

3000ccエンジンを搭載する2車種は、ともに4輪駆動車である。Rデザインでは、加えて、さらにスポーティーな硬めのサスペンションが設定され、タイヤも厚みが薄い超扁平サイズが付く。

 走り出して最初に気付くのは、乗り心地の快適さだった。装着されていたのがスポーツブランドのタイヤ銘柄であり、かなり硬い乗り心地なのだろうと予想したが、スポーツサスペンションやスポーツタイヤであることを意識させないしなやかな乗り心地だ。

 また、これまでのステーションワゴンのV50やV70で感じる少しもっさりとした動きの鈍さがなく、4ドアセダンに近い軽やかな運転感覚でもある。ステーションワゴンではなくスポーツワゴンだとボルボが言う、これまでと違う乗り味をさっそく体感した。この身軽さが、市街地での運転を楽にするのではないか。

 3000ccのエンジンは304馬力という高性能だが、日常の運転ではとても穏やかな加速で、高級車の味わいもある。それでいて、箱根の山を難なく登り切ってしまったあたりは、高性能エンジンのゆとりと、4輪駆動の安定性を組み合わせたありがたみだ。

 1600ccエンジンを積むDRIVeは、車両重量が1.5トンを超える大柄な車体に性能が事足りるのかと心配する人がいるかもしれない。だが、S60で紹介しているように、過不足ない加速性能を備えていて、これで十分だと思う。

 そして、Rデザインで体感した軽やかな運転感覚も同じだ。タイヤはRデザインより細いサイズだが、それでも乗り心地がやや硬めで、しっかりと踏ん張りの利いた走りが、動きの軽快さを伝えてくる。こちらは、FFの前輪駆動だが、V60の魅力は、エンジン性能含めこのDRIVeで満たされていると思う。

追突を回避する「シティ・セーフティ」

さて、このV60は、ボルボの安全技術の一つである「シティ・セーフティ」という電子制御装備が全車種で標準装着される。これは、30km/h未満の速度であれば、相手との相対速度が4~15km/hの範囲なら追突を回避する。つまり、自動的にブレーキが働き、ぶつからずに直前で停止する。また相対速度が15~30km/hでは、自動ブレーキにより速度を落とし、衝突の衝撃を軽減する。

 ボルボによれば、追突事故の原因の93%は前方不注意によるもの。また、47%では、ドライバーが適切なブレーキ操作をできていなかったという分析結果があるという。そのような事故の予防に、このシティ・セーフティは役立つだろう。

 その他、35km/h以下で、歩行者を含め衝突を回避する「ヒューマン・セーフティ」という電子制御装置も注文で搭載することができる。

 ボルボは、2020年までにボルボの新車が関わる事故や死傷者をゼロにする目標を定めている。シティ・セーフティやヒューマン・セーフティは、その目標へ向けた最新の安全技術である。

 スポーツワゴンとして新たに登場したボルボV60は、たとえばV70と並べて見ると明らかに躍動感のある姿で新鮮さがある。その格好よさを求めた分、荷室の広さはやや犠牲となっているが、リアゲートを開けて見た荷室の広さはそれほど狭いわけではない。

 普段はそれほど荷物を運ばないが、ときにはステーションワゴンの方がセダンより便利だと考えている人に、ボルボV60は最適な一台ではないか。ボルボの今年イチオシの新車である。

 

 

 (読売新聞)

http://www.volvocars.com/jp/all-cars/volvo-v60/Pages/default.aspx



コメントは受け付けていません。

心のこもったディリーメッセージ

メカニックの部屋(修理事例) 

サイト内検索


Go Top