2012/03/29

BMW 328i






3シリーズ 7年ぶりモデルチェンジ

ドイツのBMWの中核となるのが、3シリーズと呼ばれる車種である。その3シリーズが約7年ぶりにモデルチェンジして最新型が発売された。今回は、その328iと呼ばれる4ドアセダンの試乗である。

 かつてのBMWの各車種は、3桁の数字を使った車名の後ろ2桁はエンジン排気量をあらわしたが、現在は異なる。新型328iのエンジン排気量は2000ccだ。これにターボチャージャーを取り付けた245馬力の4気筒エンジンが搭載されている。

 新型328iは標準グレードの上に、価格は同一ながらスポーツ/モダン/ラグジュアリーという三つの趣向の違うモデルが設けられている。内外装が、スポーティはその言葉通りスピード感を覚えさせるデザインや色使いであり、モダンは斬新な雰囲気を伝えるものとなり、ラグジュアリーは伝統的な豪華さを印象付けるデザインや装飾となっている。

 今回試乗したのは、328iラグジュアリーだ。もっともオーソドックスな選択といえるかもしれない。

ピッタリ50対50の前後重量配分

 走り出して感じたのは、硬めの乗り心地であった。「駆けぬける歓び」を標榜(ひょうぼう)するBMWを好むドライバーには、こうした乗り心地が望まれるのかもしれない。だが、それでもやや硬すぎて、タイヤが路面の影響で弾むような感触があった。そこでスタッフに聞いてみると、タイヤの空気圧を5人乗車の条件に合わせて高めているとの説明だった。

 今回の試乗は私一人であり、それには高すぎるタイヤ空気圧だったわけである。全体的に硬めな乗り心地の傾向は同じでも、タイヤの空気圧が一人乗車に適した値であったら、よりしなやかな感触であったのではないかと惜しまれる。

 それほど、タイヤの空気圧は重要な役目を果たしている。一方、そうした空気圧の違いの分かりにくいクルマもあるだろう。この点からすると、空気圧のわずかな違いでこれほど乗り心地に影響を及ぼすBMWのクルマ作りは、「駆けぬける歓び」というスローガンにふさわしい、走りの究極を徹底的に追求する姿勢をうかがわせるのである。したがってBMWを選ぶなら、それほど日常的な整備状況に気を配ることが大切といえる。

 ここで車検証に記載された車両の前後重量配分を調べてみると、ピッタリ50対50の数値が示されていた。クルマの前後重量配分が50対50であることが理想であることはあらゆる自動車メーカーが認識することだが、実際に出来上がった市販車で、ここまで厳密に仕上げられているクルマはまれだ。「駆けぬける歓び」へのこだわりが、徹底されている。

 こうした一つひとつのクルマ作りの姿勢が、BMWを愛好する人たちを満足させる。そして、実際に運転してみると、新型328iの運転感覚に、ドライバーを喜ばせる感触が随所から伝わってくるのである。

自然吸気エンジンのような加速

 ハンドルを切った際のクルマの動きが実に自然だ。前方に見える道路の道筋に従って手を動かすと、素直にその走行ラインに乗って走っていく。ふらつきなど、不自然な挙動を起こさないから、安心して運転を続けられる。

 エンジンは、ターボチャージャーを使って過給されているので、ためしにアクセルペダルを床までいっぱいに踏みつけ、全速力の加速をさせてみた。その際、速度の上がっていく勢いが途中で突然変化することがなく、過給されていないかのような、まるで自然吸気のエンジンのように加速していくのであった。

 BMWは、長年、自然吸気のエンジンによる加速の心地よさを一つの売りとしてきた自動車メーカーだ。それが、環境を意識した燃費向上のため、ダウンサイジングの流れにそって、小排気量+過給という組み合わせをエンジン選択に取り入れることになったわけだが、それでも、長年BMWのエンジン感覚を愛好してきた人々に、その味を残そうとした様子が、新型328iの加速の様子からうかがえるのであった。

 お客さんの思いを深く理解している自動車メーカーなのだということを、改めて実感させた新型BMW328iであった。

 新型328iにも、アイドリングストップ機能が装備されている。エンジンの停止と再始動に若干の振動が伴ったが、かえってそれは、エンジンの存在を主張するとの見方もできる。エンジン特性にこだわりを持つ、これもBMWらしさの一つなのかもしれない。水素燃料の活用に際しても、燃料電池による電動ではなく、水素エンジンにこだわってきたBMWであるのだから。

 BMWがBMWである意味、その一つとして欠くことのできないエンジンの魅力を、とことん貫き通す姿勢を改めて印象付けた新型328iであった。

 

 

 

 

 

 

 プロフィール ドイツのBMWの中核となるのが、3シリーズと呼ばれる車種である。その3シリーズが約7年ぶりにモデルチェンジして最新型が発売された。今回は、その328iと呼ばれる4ドアセダンの試乗である。

 かつてのBMWの各車種は、3桁の数字を使った車名の後ろ2桁はエンジン排気量をあらわしたが、現在は異なる。新型328iのエンジン排気量は2000ccだ。これにターボチャージャーを取り付けた245馬力の4気筒エンジンが搭載されている。

 新型328iは標準グレードの上に、価格は同一ながらスポーツ/モダン/ラグジュアリーという三つの趣向の違うモデルが設けられている。内外装が、スポーティはその言葉通りスピード感を覚えさせるデザインや色使いであり、モダンは斬新な雰囲気を伝えるものとなり、ラグジュアリーは伝統的な豪華さを印象付けるデザインや装飾となっている。

 今回試乗したのは、328iラグジュアリーだ。もっともオーソドックスな選択といえるかもしれない。

ピッタリ50対50の前後重量配分

 走り出して感じたのは、硬めの乗り心地であった。「駆けぬける歓び」を標榜(ひょうぼう)するBMWを好むドライバーには、こうした乗り心地が望まれるのかもしれない。だが、それでもやや硬すぎて、タイヤが路面の影響で弾むような感触があった。そこでスタッフに聞いてみると、タイヤの空気圧を5人乗車の条件に合わせて高めているとの説明だった。

 今回の試乗は私一人であり、それには高すぎるタイヤ空気圧だったわけである。全体的に硬めな乗り心地の傾向は同じでも、タイヤの空気圧が一人乗車に適した値であったら、よりしなやかな感触であったのではないかと惜しまれる。

 それほど、タイヤの空気圧は重要な役目を果たしている。一方、そうした空気圧の違いの分かりにくいクルマもあるだろう。この点からすると、空気圧のわずかな違いでこれほど乗り心地に影響を及ぼすBMWのクルマ作りは、「駆けぬける歓び」というスローガンにふさわしい、走りの究極を徹底的に追求する姿勢をうかがわせるのである。したがってBMWを選ぶなら、それほど日常的な整備状況に気を配ることが大切といえる。

 ここで車検証に記載された車両の前後重量配分を調べてみると、ピッタリ50対50の数値が示されていた。クルマの前後重量配分が50対50であることが理想であることはあらゆる自動車メーカーが認識することだが、実際に出来上がった市販車で、ここまで厳密に仕上げられているクルマはまれだ。「駆けぬける歓び」へのこだわりが、徹底されている。

 こうした一つひとつのクルマ作りの姿勢が、BMWを愛好する人たちを満足させる。そして、実際に運転してみると、新型328iの運転感覚に、ドライバーを喜ばせる感触が随所から伝わってくるのである。

自然吸気エンジンのような加速

 ハンドルを切った際のクルマの動きが実に自然だ。前方に見える道路の道筋に従って手を動かすと、素直にその走行ラインに乗って走っていく。ふらつきなど、不自然な挙動を起こさないから、安心して運転を続けられる。

 エンジンは、ターボチャージャーを使って過給されているので、ためしにアクセルペダルを床までいっぱいに踏みつけ、全速力の加速をさせてみた。その際、速度の上がっていく勢いが途中で突然変化することがなく、過給されていないかのような、まるで自然吸気のエンジンのように加速していくのであった。

 BMWは、長年、自然吸気のエンジンによる加速の心地よさを一つの売りとしてきた自動車メーカーだ。それが、環境を意識した燃費向上のため、ダウンサイジングの流れにそって、小排気量+過給という組み合わせをエンジン選択に取り入れることになったわけだが、それでも、長年BMWのエンジン感覚を愛好してきた人々に、その味を残そうとした様子が、新型328iの加速の様子からうかがえるのであった。

 お客さんの思いを深く理解している自動車メーカーなのだということを、改めて実感させた新型BMW328iであった。

 新型328iにも、アイドリングストップ機能が装備されている。エンジンの停止と再始動に若干の振動が伴ったが、かえってそれは、エンジンの存在を主張するとの見方もできる。エンジン特性にこだわりを持つ、これもBMWらしさの一つなのかもしれない。水素燃料の活用に際しても、燃料電池による電動ではなく、水素エンジンにこだわってきたBMWであるのだから。

 BMWがBMWである意味、その一つとして欠くことのできないエンジンの魅力を、とことん貫き通す姿勢を改めて印象付けた新型328iであった。

(読売新聞)



http://www.bmw.co.jp/jp/ja/newvehicles/3series/sedan/2011/showroom/index.html


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