前の対談    次の対談    戻る よみうり情報・住吉2000年10月より

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★ゲスト 文珠 敏郎さん<文珠耳鼻咽喉科 音声クリニック院長>

★ホスト 氏田 耕吉 (ウジタオートサロン代表取締役)


声楽家・音楽教育専門家・医師のチー
ムですペての人が、個性的で楽に自然な美しい声を出すことを目指しております

「声のリハビリセンター」(旧RAP研究所)

連絡先:文珠耳鼻咽喉科 06-6622-0364



ホームページアドレス
http://koe.boo.jp

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不自然な発声が、『音声障害』 の原因。呼吸を効率よく声帯に当てるように、
また一人一人に合った発声を指導する

氏田 文殊耳鼻咽喉科では十年前から「音声外来」を設置されてきたということですが。

文殊
 普通、耳鼻咽喉科での声の治療は風邪を引いて声が嗄れてしまったとか、のどにポリープが出来たとかなどの病気を診察・治療するのですが、私の医院の音声外来では、声楽家・アナウンサ−・司会者・学校の教師・営業関係のビジネスマンなど 「職業的音声使用者」、声を使うことを仕事にしている方が「声が出なくなつた、出しにくくなった」など「音声障害」になった方を対象に治療をしてきました。

氏田
 私も先日風邪をひいたのでもないのに急に声が出なくなって、先生の診察を受けたのですが、「音声障害」というのはなぜ起こるのですか。

文珠 発声の仕方が悪く、その人に合った自然な発声をしないで毎日長時間話をしているうちに、声帯が極度に疲れたり、ポリープなどができたりして声が出なくなるのです。
一般の方でも何かの都合で声を酷使することがあって、声が出なくなることがありますが、その場合には、声を出すことを少し控えてのどを休ませてやれば声が出るようになります。しかし「職業的音声使用者」の場合は、声を出すことをやめると仕事を休まなければなりません。そこで「仕事を休まないで声を出すようにできないものか」、さらに「発声方法に問題ありとする患者さんに、正しい発声を身につけてもらうには、どんな指導をしてあげればよいか」をRAP研究所スタッフと共にこの十年研究してきました。

氏田 具体的にどのような指導をされるのですか。

文珠
 最初に指導することは、呼吸をうまく効率よく声帯に当てて声を出すことで、そういう発声をすると声帯に何の負担もなしに声が出てきます。
ところが呼吸を無視して話していると声帯に無理がかかります。「息を吸ったその分だけを話す、苦しくなったらまた息を吸ったその分だけを話す」の指導だけでかなり良くなる人もいます。その上で個々の患者さんの症状に合わせて音声治療していくのです。

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ポリーフを切除手術しなければ治らない患者さんが

発声の矯正だけで治ることも

氏田 その延長線上で「RAP研究所(声を考える会)」ができたのですね。

文珠
 そうです。文珠耳鼻咽喉科の「音声外来」を中心に声楽家・音楽教育の専門家の方々の協力を得て「音声障害のあるすべての人が受けられる治療法を開発して治療していこう、そのための専門家を養成していこう」とはじめたのが「RAP研究所(声を考える会)」 です。

氏田
 「RAP」というのはどういう意味ですか。

文珠 ドイツ語の「Relaxsaction(弛緩)Auning(呼吸)Phonation(発声)」の頭文字を取った名前で、のど(声帯)に負担をかけず、その方にとって一番良いと考えられる、楽で自然な声を導くための方法を考え、指導する研究所という意味です。アメリカの大統領などの声を使う人には 「ボイストレーナ−」がついていて「あなたにはこういう発声、こういう話し方が最も適当です」とアドバイスしています。

日本人は声に村して非常に関心が薄いのですがこれからは、一人一人が専属のボイストレーナーを持ってその人の個性に合わせて「あなたはこういう発声が最も適していますよ」というアドバイスを受けて営業関係のビジネスマンなどは魅力のある声を出すことによって売上が上がる時代になって来るでしょう。

氏田
 現在スタッフは何人くらいおられるのですか。

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文珠 代表の米田葉子さんを中心に、音楽大学の声楽科や音楽教育学科を卒業された講師を中心に医師としては私が入って七名ほどのスタッフがいます。

氏田
 声を・良くするだけでなく治療としても大きな効果があるとお聞きしていますが。

文珠
 ポリープがあって、これまでの医療では切除手術をしなければ治らない患者さんが、発声の矯正だけで治るというケースも多く見られます。

ポリープにある患者さんが来られた時に「切除手術をしてもこのままの発声を続けていると必ず再発します、再発の予防を考えて、悪い発声を矯正してから手術しましょう」と切除手術の前に発声法を矯正したところが二、三ヵ月かけて発声矯正をしているうちにポリープが小さくなったり、消滅したりして、手術をしなくても良くなる患者さんもよく見られます。発声の矯正が直接治療につながることもあるのです。

氏田
 これからの「RAP研究所」の研究の方向はどのように考えておられますか。

文珠 職業に合わせた効率のよい声の出し方の研究を進めるとともに、これまでは文珠耳鼻咽喉科の付属機関のような存在でしたが、これからは独立した存在と位置付けて「音声障害」の患者さんの治療を考えておられる耳鼻科の医師にも「RAP研究所」を活用していただき、また必要があれば、患者さんのところへ出向いていって治療することも考えています。

氏田
 ありがとうございました。


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*「RAP研究所(声を考える会)」は現在「声のリハビリセンター」にお名前が変更しております。


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