なぜ人間だけは、絶望するの?
2010/12/06 未分類
憂いは想像力ある証し
日本ではおよそ17分に1人の割合で、自らが命を絶つ。
毎日3万人にものぼる自殺の理由は、健康への不安や経済・生活苦、男女問題などまちまちだが、「もう生きていても仕方ない」と明日への望みが絶たれ、それが引き金になるケースは多い。
人間だけがナゼ絶望するのだろうか。
同じ霊長類であるチンパンジー研究から人間とは何かに迫る、比較認知科学の観点から探ってみよう。
愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所。
5月に28歳になったオスのチンパンジー、レオが首から下がまひして動けなくなる脊髄炎を発病したのは2006年9月、4年前のことだ。
食欲はなくなり、点滴で水分と栄養を補う毎日が続いた。
寝たきりのため、床ずれもひどい。
57キログラムあった体重は35キログラムまで激減。
骨と皮だけの痛々しい姿になるが、首から上は元気なころと何ら変わらず、落ち込む様子はまったくみられなかったという。
どうしてなのか?。
松沢哲郎霊長類研所長は「チンパンジーは明日のことをくよくよ考えないからだ」と解説する。
今目の前にある世界でのみ生きているチンパンジーは「ねたんだり、うらやんだり、そねんだりしない」。
彼我の差に思いを巡らせ、過去を引きずり、将来を憂うのは、人間の想像力のなせるわざという。
人間は進化の過程で言葉を手にした。
言葉によって体験が時間と空間を飛び越えていく。
「想像できる時間と空間の範囲が人間とチンパンジーとでは全く違う」(松沢所長)
今置かれた立場がとてもつらいと、自分の将来を見据えた時に絶望に陥りやすい。
ただ、希望もまた想像力のたまもので、人間だけが持つ。
希望と絶望はコインの表と裏の関係ともいえるだろう。
(新聞コラムから)
