2011/04/04

ボルボ・S60


10年ぶりにフルモデルチェンジ

スウェーデンの中型4ドアセダンのボルボS60が、10年ぶりのフルモデルチェンジで2代目となった。新型S60の目玉は、ボルボ初のエコカー減税対象となる新エンジンの搭載と、歩行者との衝突回避を行うヒューマン・セーフティ技術の採用だ。

 新しくなったボルボS60は、前型にくらべ全体的に若干大柄になったのだが、一見したところ、スッキリと絞り込まれた印象で、3ナンバー車とはいえ軽快な運転を楽しめそうに思われた。そして、実際、新開発された排気量1600ccの直噴ターボエンジン搭載車は、俊敏な動きを味わわせる爽快なクルマであった。

中型4ドアセダンとは思えない軽快で爽快な運転を楽しませる、新型ボルボS60の廉価版DRIVe(ドライブ・イー)








運転が楽しいDRIVe

新型ボルボS60は、その1600ccエンジンを搭載した前輪駆動(FF)車のほかに、3000ccエンジンを搭載した4輪駆動(AWD)車がある。今回は、その双方に試乗することができた。

 近年、燃費性能を高めるためエンジン排気量を小さくする傾向がヨーロッパでは強まっている。かつては5ナンバー車ほどの小型車で使われてきたような小排気量エンジンを、3ナンバー車に適用する例が増えている。

 新型ボルボS60も、エンジンの排気量自体はわずか1600ccだが、これにターボチャージャーによる過給を加え、6速の多段トランスミッションを組み合わせることで、車両重量1540kgのボルボS60を走らせる。

 アクセルペダルを踏み込んで驚いた。いくら過給をしているとはいえ、ターボチャージャーはエンジンの排ガスを利用してコンプレッサーを稼働する機能なので、エンジン回転数が低く、なおかつ停車状態からの発進では、まだその効果が薄いはずだ。

 それにもかかわらず、アクセルペダルを踏み込むと同時に、何の抵抗もなくスッと動き出した。さらに加速を求めると、躊躇(ちゅうちょ)なく素早く速度に乗せていく。あえていえば、ライトウエートスポーツカーを運転しているかのように身軽な加速なのである。こいつは運転が楽しいと思った。

 その軽快さは、カーブでも発揮される。ハンドル操作のままに、スッと向きを変える。1.5トン以上の車体が、重さを失ったかのように軽やかにカーブを駆け抜けるのだ。中型4ドアセダンとは思えない俊敏さだ。

 しかも走行中の静粛性は高く、乗り心地の重厚さも薄れるわけではなく、新型ボルボS60は鋼板製車体だが、まるでアルミ車体を使った高級車の趣である。

 この1600cc直噴ターボエンジン車は、S60 DRIVe(ドライブ・イー)と呼ばれ、もっとも廉価な車種ではあるが、新型ボルボS60の良さをすべて身に着けていると感じた。

 3000ccエンジンを搭載した4輪駆動車は、S60 T6 AWD SEと呼ばれる。こちらはDRIVeより140万円以上高価な上級車種だが、実は、DRIVeほどの感動は受けなかった。

 上級4ドアセダンとして何か不足があるというわけではない。しかし、DRIVeが備える、中型4ドアセダンとは思えない軽快で爽快な、新鮮な運転感覚は味わえず、過去いろいろ乗った経験のある上級4ドアセダンの趣を超えるものはなかった。

 とはいえ、4輪駆動である点や、いかにも高級車然とした重厚さを好むなら、T6 AWD SEもよいクルマであることに間違いない。

新開発の直列4気筒1600ccの直噴ターボエンジンは、180馬力。燃費は、12.6km/L(10・15モード)







DRIVeの運転席。運転しやすいように、すべてのメーターやスイッチがドライバーの側に向いている







シフトレバーをリバース(R:後退)に移動させると、カーナビゲーション画面にクルマの後ろの映像が映し出される







DRIVeの後席。試乗車は、25万円追加のレザー・パッケージを装備した本革シート仕様。座席の長さがやや短いと感じた







新装備のヒューマン・セーフティ

さて、目玉の新装備であるヒューマン・セーフティについてだ。これは、カメラとレーダーを併用して進行方向を監視し、万一、歩行者と衝突しそうになった際、ドライバーの運転回避が間に合わなかった場合でも、35km/h以下の速度であれば、歩行者との衝突を回避する機能である。

 実際に模擬試験を体験した。20~25km/hの速度でダミー人形に向かい、ブレーキペダルを踏まずにそのまま前進したところ、手前で自動的に急ブレーキがかかって、人形と衝突することなく停止した。

 35km/h以上の速度でも、80km/hまでの間は、衝突の回避こそできないが、十分に衝突速度を落とすことで、歩行者への傷害の程度を下げることができる。

 ちなみに、この機能は万全ということではない。歩行者の車道への飛び出しの状況によっては間に合わないこともあるだろうし、天候の影響もうけ、また夜間は機能しない。とはいえ、万一の際の歩行者保護にかなり対処できるのは間違いない。

 こうした運転支援機能は、今後ますます拡大進化していくだろう。各自動車メーカーは、交通事故ゼロを目指して日々開発を続けているからだ。それでも、クルマの安全確保の責任は、すべてドライバーにあることを忘れてはならない。

(読売新聞)

ダミー人形を使ったヒューマン・セーフティの試験走行。ブレーキを踏まなくてもクルマが自動的に急ブレーキを掛け、歩行者の直前で停止する







前のラジエターグリルに設置された、ヒューマン・セーフティのためのレーダー







フロントウインドー上部に設置された、ヒューマン・セーフティ用のカメラ








排気量3000ccエンジンを搭載する上級車種のS60 T6 AWD SE。新型ボルボS60は、全15色あるが、車種によって設定色が異なる







http://www.volvocars.com/jp/all-cars/volvo-s60/tools/Pages/offers.aspx?offer=3d9a34e3-e20a-49e2-8587-4c8ec17a0f24


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