2011/06/29

メルセデス・ベンツ CLS350BlueEFFICIENCY / CLS63AMG































スポーティーな外観

 メルセデス・ベンツの4ドア車でありながら、クーペのような車高の低いスタイルが特徴のCLSが、モデルチェンジをして2代目となった。販売車種は、CLS350ブルーエフィシェンシーと、CLS63AMGの2種類。どちらも新開発のエンジンを積んでいる。

 外観で特徴的なのは、片側だけでLEDを71個も用いたヘッドライトだ。消費電力が少なく、球切れがないので寿命も長いLEDを使い、通常灯火のロービームだけでなく、遠くを照らし出すハイビームにまで利用しているのは世界初のこと。点灯すると、存在感のある照明になる。

 車体側面には、躍動感を感じるラインが濃く入れられており、初代に比べ、よりスポーティーな雰囲気が目に鮮やかだ。

 室内は4人乗りで、後席も前席と同じように1人掛けの座席がしつらえられている。座ると体にしっくりなじむ形をしており、後席での座り心地がいっそう落ち着く。

 一般的な4ドアセダンでは、3人掛けをすることも想定して後席がベンチシートの形をしているが、実際に3人掛けすることはまれだろう。クーペのようなスタイルのCLSはその点、使い道を割り切れるので、座り心地を優先した座席を採用することができたようだ。

コンフォートモードで軽やかな乗り心地

 まずはCLS350ブルーエフィシェンシーの試乗である。こちらは、注文仕様のAMGスポーツパッケージが装備されて、外観がAMGタイプの見栄えとなり、サスペンションには空気バネ式が採用されている。そのうえで、今回のCLS350ブルーエフィシェンシー最大のポイントは、新開発のV6エンジンである。

 排気量が3500ccの新エンジンは、エンジン本体からすべて作り直され、ガソリン直噴と希薄燃焼を採り入れ、燃費性能を従来の3500ccエンジンに比べ46%も改善したという。そこまで省エネルギー化すると、力不足にならないか心配になるほどだが、いざ運転してみると、1.7トン以上ある車体を軽やかに速度に乗せていった。また、停車するとアイドリングストップをする。カタログ上のJC08モード燃費は、12km/Lである。

 サスペンションは、コンフォートとスポーツ仕様の切り替えが可能だが、コンフォートでの軽やかな乗り心地が印象的だ。AMGパッケージということで、扁平で幅の広いタイヤを装着しているにもかかわらず、ゴツゴツしたところもなく、とても心地よい。車体寸法が全長5メートル近く、幅も1.9メートル弱の大柄な車体を、大きく感じさせない身軽な動きで、運転を苦にさせない。

 また、走行中の静粛性や、振動の少ない滑らかな乗り心地も、新型CLSの高級さを実感させる点だ。

アウトバーンで運転してみたい走り

 次に、CLS63AMGである。こちらもエンジンが新しい。V8エンジンの排気量は5500ccで、ガソリン直噴を採用し、ツインターボチャージャーの過給装置が付く。従来の6300ccから小排気量化されたが、エンジン出力は以前より高くなっており、最高525馬力である。

 こちらは車体重量が1.9トン近くとさらに重いが、この強大なエンジンの力によって軽々と速度に乗せ、たちまち法定速度を超えそうになる。ドイツのアウトバーンで運転したら、どれほど気持ちいい加速だろうかと思った。

 そして、このCLS63AMGも、停車すればアイドリングストップする。今やドイツをはじめヨーロッパでは、停車しているのにエンジンを回しっぱなしにすることの不自然さに車種を問わず気付き始めている。その点、日本ではアイドリングストップの採用が限られており、この点については意識が遅れていると言わざるを得ない。

 CLS350ブルーエフィシェンシーもCLS63AMGも、走りの爽快さは通じ合うところがある。4ドアなのにクーペのようなスタイルの独自性とともに、運転する楽しさを伝える高級車である。

(読売新聞)

http://www.mercedes-benz.co.jp/passenger/car_lineup/cls-class/


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