2008/12/18
ホンダF1撤退、業績悪化がレース直撃
ホンダは5日、自動車のF1(フォーミュラ・ワン)世界選手権
からの撤退を発表した。
参加見直し、他社に拡大も
世界的な景気後退による新車販売の不振を受け、年間500億円超
といわれる関連費用やF1にかかわっている約400人の技術者を低燃
費技術やハイブリッド車などの開発に振り向ける。2009年シーズン以
降は参戦せず、チームは売却する。オートバイなどF1以外のモーター
スポーツ活動については継続する方針だ。
ホンダは創業者・本田宗一郎氏の強い意向で1964年にF1初参戦
した。最高峰レースは、技術開発だけでなく、チャレンジ精神を高める
企業風土作りにも結びついた。開発に携わりたいと希望する若手技
術者も多く、社員にとって今もF1は特別な存在だ。ホンダ関係者は
「(撤退は)ショックだが、そこまで経営が厳しいのかと痛感した」と話
す。
ホンダの福井威夫社長は5日の記者会見で「悔しく残念だが、自
動車販売を取り巻く環境は厳しい」と述べ、販売不振による業績悪
化で経営資源の配分見直しを迫られた結果であることを認めた。
2009年3月期の営業利益は前年同期より42・3%減の5500億円に
落ち込む見通しで、すでに国内外の工場で減産や人員削減に踏み
切っている。
自動車メーカーが販売不振に苦しむ状況は国内外を問わず同様
で、今後、モータースポーツへの取り組み方を見直す動きが他社に
広がる可能性がある。
ホンダ撤退でF1に参戦する国内メーカーはトヨタ自動車だけとな
る。そのトヨタも状況は厳しい。同社の山科忠専務(モータースポ
ーツ担当)は「10、11月に経営環境が悪化した。来年の予算は大
幅削減を余儀なくされる」と述べている。
モータースポーツは、車の耐久性や信頼性を測るデータ収集、
燃費向上や代替燃料の開発など技術力向上の場、さらに「海外
でのブランド力浸透には重要なイベント」(富士重工業)でもある。
しかし、販売不振が強まる中で、各社は巨額の参戦費用をもはや
支えきれなくなりつつある。 (読売新聞)