2011/09/02
シボレー・キャプティバ…「新生GM」の象徴
GMが中型スポーツ用多目的車(SUV)「シボレー・キャプティバ」を発売した。7人乗りでミニバンのように使い勝手が良い。経営再建を果たした「新生GM」の象徴となるクルマだ。
洗練デザイン
正面からみると、大きく開いた前面のグリルと、十字形の「ボウタイ」と呼ばれるシボレーのエンブレムが印象的だ。しかし「アメ車」から連想するアクの強さはない。デザインは個性的ながら、洗練されている。
3列シートで、ゆったりした室内は長距離ドライブでも疲れを感じさせない。安全性を高める3点式シートベルトも、7人全員が使える。2、3列目のシートを倒すと広い荷室になり、助手席も倒せば最長2・7メートルの荷物も積み込める。
荷室のハッチは、ガラス部分だけを開閉することもできる。小物を出し入れする時に便利だ。35万円高い「ラグジュアリーパッケージ」は革張りシートで、サンルーフがつく。
電子制御の四駆
走りの実力も高い。
2・4リットル直列4気筒エンジンは、米自動車専門誌が選んだ「ベスト10」に入った。低回転でもパワフルで、加速はスムーズで扱いやすい。ボタン操作で「エコモード」に切り替えれば、ガソリンの消費がぐっと減る。
車台はGMの中型SUVと共通だが、乗り心地やハンドル操作はやわらかく、国産のセダンから乗り替えても違和感がない。電子制御の四輪駆動で、街中では前輪のみ動く。オフロードの悪路や雪道などでは、後輪に最大50%の駆動力を配分する。
パーキングブレーキは、高級車に多い電動式だ。ボタンを押せばブレーキがかかり、アクセルを踏めば解除される。下り坂でも低速を維持できる「ディセント・コントロール・システム」や、上り坂で発進する際に後退しない「ヒルスタート・アシスト」も装備した。
強力なライバル
ただ、ライバルは少なくない。5人乗りでは、フォードの「クーガ」(335万~378万円)が手ごわい。キャプティバと同様に電子制御の四輪駆動を採用し、2・5リットルターボエンジンの走りは力強い。BMW「X1」(363万~480万円)や、フォルクスワーゲン「ティグアン」(385万~421万円)も、落ち着いた外観と走りの安定感が魅力だ。
7人乗りのトヨタ「ヴァンガード」(246・2万~336・5万円)は流麗なデザインと高級感あふれる内装が都会派SUVの雰囲気を醸し出す。三菱「アウトランダー」(215・2万~284・6万円)は、高い走行性能と手頃な価格が魅力だ。再建後、日本で初めて投入するクルマとなるキャプティバの成否は、GMにとって大きな試金石となる。