2010/04/12

ベンツ「Eクラス」 新型ディーゼル車

クリーン排気が目玉


ベンツ「E350ブルーテックアバンギャルド」。
左がセダン、右がワゴン

 メルセデス・ベンツは、主力モデル「Eクラス」のディーゼル車を
3年ぶりに全面刷新した。

燃費の良さだけでなく、ガソリン車並みの排ガスのクリーンさを
売り物に、エコカー市場の台風の目となれるか注目される。

 新型ディーゼル車「E350ブルーテックアバンギャルド」は、
セダンとワゴンの2種類がある。


ベンツ「E350ブルーテックアバンギャルド」のエンジン

 搭載される3リットルV型6気筒ディーゼルエンジンは、
最高出力211馬力を発生する。

最大トルクは55・1kgmと、「E550」の5・5リットルV8
ガソリンエンジン(54・0kgm)をしのぐほど。

一方、燃費は、1リットル当たり13・2~13・4キロ・メートルと、
1・8リットル4気筒ガソリンの「E250」(11・0~11・4キロ・
メートル)を上回る。

 また、世界でもっとも厳しい排ガス規制とされ、9月に
全面施行される日本の「ポスト新長期規制」を、輸入
ディーゼル車として初めて、日本車も含めてディーゼルの
AT車として初めてクリアした。

 それを可能にしたのが、「ブルーテック」と呼ばれる
排ガス処理システムだ。

排ガスに尿素水溶液を噴射することで、有害な窒素酸化物
(NOx)を、窒素と水に還元する。

さらに、最新の粒子状物質除去フィルターを組み合わせ、
先代の「E320 CDI」に比べてNOxを約69%、
粒子状物質を約21%低減した。


排ガスに噴射する尿素水溶液をためておく
荷室床下のタンク

 尿素水溶液は、荷室床下のタンク(容量24・5リットル)に
収められる。

消費量は走行距離1000キロ・メートル当たり約1リットルと
少ないため、1年ごとの点検時に補充すれば済むという。

 新長期規制をクリアするエコカーなので、自動車取得税と
重量税は全額免除される。

さらに新車購入補助金の対象にもなっていることから、
セダンで最大約67万円、ワゴンで約68万円の優遇措置が
受けられる。

 価格は、

セダンが798万円、

ワゴンが833万円と、

先代より約60万円安くなった。

 7年ぶりに全面改良されたワゴンは、世界に先駆けて
日本に導入された。

「戦略的」とする価格設定とともに、日本市場重視の
姿勢をアピールする。

 高級車の分野で、エコカーの選択肢の幅が広がった
ことは間違いない。

ただ、排ガス処理などにコストがかかるため、同排気量の
ガソリンエンジン車に比べ、割高なのは変わらない。

環境性能をどこまで消費者にアピールできるかが課題と
いえそうだ。

ディーゼル車もエコ追求

 ディーゼル車は、国内では「排ガスが汚い」などの理由
で敬遠されがちで、人気は今ひとつだ。

しかし、欧州では、1990年代後半に排ガスを抑える技術
が進み、西欧でディーゼル車が占める販売シェアは、約5割
に達している。

輸入車では、独アウディ、フォルクスワーゲンが今年中に
日本に導入する方針だ。

 排ガス抑制の技術進歩を受けて、日本車でもディーゼル車
を見直す動きが出ている。

 日産自動車のスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」
に2008年9月、投入されたディーゼル車は、今年1月までに
約4400台を販売した。

目標の約2.6倍の売れ行きで、AT車が今春、追加される。

 三菱自動車も今秋、SUV「パジェロ」にディーゼル車を
追加、マツダも12年以降の新型車に新開発のディーゼル
エンジンを搭載する。

 政府も、エコカーのひとつとしてディーゼル車普及の
キャンペーンなどを計画しており、エコカーとしての
ディーゼル車に注目が集まりそうだ。



                                                                             (読売新聞)


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