2007/08/07
新世代ディーゼルは「よく走る!」
日本市場の認識に革命起こす
「くさい」「きたない」「うるさい」と嫌われてきたディーゼルエンジン車。
かつては日本でもディーゼル乗用車が増大したことがあったが、今では絶滅に近い。
そのディーゼルエンジンが、コモンレールという革命的技術により生まれ変わった。
欧州では、既にディーゼル車が主流になっている。
ーー新世代ディーゼルと、かつてのディーゼルとの違いから説明してくださいー
「まるで別の物というくらい革命的に変わった。
排出ガスのクリーン度、CO2(二酸化炭素)の少なさ、経済性、静粛性、それにパワフル度のすべてが向上した。
排ガスはいまやガソリン車並にクリーンになった。
音・振動もガソリン車に限りなく近くなった。加速性能はガソリン車を上回るほどになった」
ーーどうしてそれほど変わったのかー
「かつてのディーゼルは予燃焼室に燃料を噴かせて燃やすIDI(間接噴射方式)だったため、
スモークやPM(粒子状物質)が多かった。
しかし1991年にDI(直接噴射方式)が導入されPMを抑制できるようになった。
さらに97年にディーゼルに革命的変化をもたらしたコモンレールが導入された。
コモンレールで高度制御したパイロット噴射ができるようになり、
NOx(窒素酸化物)を退治できるだけでなく、音・振動もなくなり、燃費も良くなり、
しかも出力、レスポンスも向上した」
ーー新世代ディーゼルは、日本では「クリーンディーゼル」といわれているため、排ガスの清浄さやCO2の少なさばかりが強調され、走りのよさはあまり知られていないが、、、、、、、?
「トルクはガソリン車と比べ圧倒的に太い。
例えば写真のメルセデス・ベンツE320CDIの場合、
1600回転で540ニュー??ものトルクを発揮する。
それによって一気に加速できる。
ガソリン車の場合は回転が上がるまで加速しにくいので、いまやディーゼル車の方が走りがいい。
実際、ガソリン車のE350と0?100??の加速を比べると、
E350が6.9秒なのに対し、E320CDIは6.8秒とディーゼルのほうが速い。
この加速度の良さが欧州で受けており、単にCO2の少なさだけで売れているわけではない」
ーー欧州では乗用車の半数以上がディーゼル車になっているが、日本でも普及するかー
「ディーゼルエンジンはここ十数年で劇的な進化を遂げているのに、日本の消費者にはそ
れすら知られていない。
いまだにディーゼルはうるさい、くさい、走りが鈍重と思われている。
しかし欧州での普及により、日本のユーザーも徐々に気づき始めた。
新世代ディーゼルの国内第1号となったベンツE320CDIの評判もかなり良い。
今後、ホンダや日産が商品を投入すれば、日本市場の認識も一気に変わる可能性がある」
日刊自動車新聞 平成19年8月2日版 「桜中徹氏に聞く」 から抜粋