2009/01/31
VW初の小型SUV「ティグアン」
街で俊敏 悪路も快適
ブームが去ったとはいえ、4輪駆動車でスキーに行くのを楽しみ
にしている人も多い。フォルクスワーゲン(VW)初の小型スポーツ
用多目的車(SUV)「ティグアン」は、街中での使い勝手のよさと
悪路での走破性を両立させたニューフェースだ。
「乗用車メーカー」というイメージが強いVWだが、ポルシェと
共同開発した大型SUV「トゥアレグ」が、国内では2003年に
発売されている。ティグアンは、トゥアレグよりも、全長で295ミリ、
全幅で120ミリ、全高で40ミリ小さく、全長は、国産では日産の
「デュアリス」(4315ミリ)と「エクストレイル」(4590ミリ)のほぼ
中間になる。女性でも乗り降りがしやすく、運転席の視点が高く
なるため、運転もしやすい。
ティグアンは、ドイツ語の虎(Tiger)とイグアナ(Leguan)を合
わせた造語で、街中では虎のように俊敏に、悪路ではイグアナ
のようにたくましく走る、という意味が込められている。
車台部分は、「パサート」と「ゴルフ」をベースにしている。
エンジンは、新開発の排気量2リットル直噴ターボで、低回転
からの力強い走りが特徴だ。乗り心地を左右する後部サス
ペンションも、パサートの部品をベースにした専用設計で、
走りと乗り心地は乗用車並みだ。
さらに、ペダルから足を離してもブレーキが維持される「オート
ホールド機能」を備え、発進・停車を繰り返す街中での運転に
ぴったりだ。駐車時に便利な後部カメラとカラーモニターも標準
装備した。
4輪駆動システムは、走行状態に応じて最適な駆動力を前後輪に
配分する最新の「4MOTION(モーション)」で、路面を選ばず安定し
た運転ができる。さらに、ボタンひとつで、本格的なSUVに変身する。
運転席と助手席の間にある「オフロード」ボタンを押せば、ブレーキ
を自動制御して一定速度で急な坂を下る「ヒルディセントアシスト」や、
エンジンブレーキの最適化など五つの走行支援システムが作動する。
最大43度の坂道を上ることができる。
充実した安全装備や最大1510リットルまで広がる荷室など使い
勝手もいい。
各社が相次いで投入
国内でSUVブームが始まったのは、1990年代から。三菱
「パジェロ」やトヨタ「ランドクルーザー」など本格的なオフロード
向け4輪駆動車が人気を集めた。
94年のトヨタ「RAV4」、95年のホンダ「CR―V」など、街中で
の走行を重視したタイプもヒットし、96年には年間販売台数が
47万台を超えた。しかし、その後はミニバンや小型車の人気に
押され、2004年には約19万台にまで落ち込んだ。近年、各社
が相次いで小型SUVを投入したことから拡大に転じ、2007年
には、25万台を上回る水準まで回復した。
輸入車でも、BMW「X3」(570万?645万円)=写真=を代表
とする小型SUV市場に、ベンツが「GLKクラス」(675万円)を
発売したほか、アウディも「Q5」を今後投入するなど競争が激化
している。
ティグアン(367万円)は、輸入車としては価格も手頃なこと
から、国産車ユーザーからの買い替えも進みそうだ。ただ、
乗用車と比べれば燃費が劣ることもあり、ガソリンが高くなれ
ば、二の足を踏む人も多いだろう。
(読売新聞)