2010/03/01
BMW 5シリーズ グランツーリスモ
クロスオーバーの堂々とした車体
5シリーズの一車種として誕生したグランツーリスモ
リアウィンドウも一緒に開くハッチバック機能
ドイツのBMWから、5シリーズの一車種として新しく、
グランツーリスモが誕生した。
4ドアセダンと、ハッチバックと、SUVを融合したような、
まさにクロスオーバーといえる新車だ。
その堂々とした姿に、まず圧倒された。
5シリーズといいながらも、車体の基本骨格部分は
BMW最上級車の7シリーズと共通であるという。
ならばこの雄姿にも納得できる。
流れるような姿の車体後方は、リアウィンドウも
一緒に開くハッチバック機能を備える。
ここに一工夫があり、セダンのようにトランク部分だけを
開閉する仕掛けにもなっている。
そして、荷室と客室とは、セダンと同じ様に完全に分離され、
後席に座れば高級セダンの趣ある乗り心地を提供するのである。
一方、ハッチバックとしてリアゲートを開閉すれば、
ワゴン車のように荷物の積み下ろしができる利便性も備える。
こうした便利さを追求したため、構造が複雑になって
それが重量増となり、車両重量は2トンを超える重さだ。
それでも、今回試乗した3,000ccターボエンジンで何ら不足のない、
力強い走りを実現している。
こだわりの直列6気筒、余裕の加速性能
セダンのようにトランク部分だけを開閉
エンジンは、排気量が3,000ccの直列6気筒
(ターボチャージャーを装備)と、排気量が4,400ccのV型8気筒
(同)の2種類がある。
トランスミッションは、どちらも8速のオートマチックだ。
今回試乗したのは、先にも述べたように3,000ccエンジンの
535iグランツーリスモである。
BMWが伝統的にこだわりを続ける直列6気筒エンジンは心地よく
滑らかに回り、ターボチャージャーの効果もあって、気付くともう
100km/hに達しているほど加速には有り余るほどの力を備えていた。
V8エンジンのほうには試乗できなかったが、少なくとも加速性能の
点においては、V8の必要性を感じないほど直列6気筒ターボ
エンジンの仕上がりは素晴らしかった。
回生で発電しバッテリーに充電
心地よく滑らかに回る直列6気筒エンジン
洗練された雰囲気の室内
グランツーリスモには、BMWの環境対策である
エフィシェント・ダイナミクスが採用されている。
これは、エンジンやトランスミッション、空力など総合的な効率向上策
を指す言葉だが、目新しい技術は、発電機を使った回生である。
通常、クルマのバッテリーに充電する電気はエンジンの動力を
一部利用して発電機を回して行うが、エフィシェント・ダイナミクスでは、
その発電機を、クルマが減速する際の回生を使って回し、
電気をバッテリーに充電する方法を取り入れた。
これによって、エンジンの燃料消費を発電に使わずに済み、
数パーセントの燃費改善ができるとBMWは説明する。
無駄は少しでも省き、利用できるエネルギーは無駄なく使う
という発想だ。
ハイブリッドカーのような大掛かりな仕掛けでなくても、
発電を回生で行いバッテリーに充電するといった発想は、
すべてのエンジン自動車で活用していいアイディアだ。
そして、メーター内のインジケーターで、充電が始まると
針が触れて知らせる様子を見られることは、
省エネに参加するうれしさもある。
坐り心地のよい後席
たっぷりとして座り心地のよい後席
グランツーリスモの後席の快適さも、紹介しておきたい。
後席の足元や天井にゆとりがあるのは言うまでもなく、
座席の大きさがたっぷりとして、座り心地がとても落ち着く。
さらに、前方の見晴らしが良く、サイドウィンドウから景色を
眺める車窓感も心地よいので、誰かに運転をしてもらって
景色を楽しみながら遠くへドライブする喜びがあふれている。
BMWがうたう「駆け抜ける歓び」が、単にドライバーのための
ものではなく、同乗するすべての人にとっても同じ様に言える
ことを、グランツーリスモで体感することができた。
(読売新聞)
関連URL : http://www.bmw.co.jp/jp/ja/newvehicles/5series/gran_turismo/2009/introduction.html