2007/10/11
ETC車専用インター整備へ 地方に200ー300カ所
国土交通省は来年度から、自動料金収受システム(ETC)搭載車専用の高速道路インターチェンジ(IC)を、全国で本格導入する方針を固めた。
大がかりな工事がいらない簡易型で、5ー10年で200ー300カ所の新設を見込む。ICはふつう高速道路会社が整備するが、ETC専用ICは、高速道路の利用促進と地方活性化を目的として、国の負担でつくる方針。揮発油税(ガソリン税)などの道路特定財源を事業費にあてる考えで、使い道を限らない一般財源に回る額を抑える思惑もありそうだ。
ETC専用ICは、高速道路のパーキングエリア(PA)や高速バスの停留所などを一般道と結ぶ形で出入り口をつくる。このため、通常のICに比べ建設費が10分の1ほどの3億?8億円で済むという。料金受け取りの人件費も要らなくなる。
現在、高速道路のICは約10キロごとにあり、全国で約700カ所。国交省によると、地方からはICの設置の要望が多く、同省の5月のアンケートでも161の自治体から要望があったという。
このため、年内にも策定する「道路整備中期計画」の中に、整備を盛り込むことにした。ICと一般道を結ぶ道路整備では自治体への補助金制度も設ける方針。 ETC専用ICは、04年度から全国31カ所で試験的に導入。国交省によると最も利用の多かった群馬県吉岡町の関越道・駒寄ICの07年8月の通行量は1日当たり3500台。近くに家電量販店などの出店が相次ぎ、商業集積が進んだ。
一方、通行量が少なく休止されたのも4カ所あった。 本格整備にあたっては、一定の人口があり、通行量が見込めるといった基準を設けた上で、自治体から希望場所を募る考えだ。 ただ、高速道路を走る車のETC搭載率は全国では68%になったが、地方では沖縄県が32%など普及が遅れている地域も多い。ETCを搭載していない人からは、不満が出る可能性がある。
また、道路整備に使い道を限った道路特定財源をめぐっては昨年末、「真に必要な道路整備」の歳出を上回る税収を一般財源とすることが閣議決定された。
国交省はETC専用ICの事業費に特定財源を使いたい考えだが、一般財源化の流れに反すると批判される可能性もある。 特定財源のすべての一般財源化を求めている参院第1党の民主党の理解を得ることも必要で、実現にはハードルもある。 (朝日新聞)