2007/05/16
クライスラーをサーベラスに売却 9000億円で合意
米独自動車大手のダイムラークライスラーは14日、不振の北米部門、
クライスラーの株式80.1%を米投資ファンドのサーベラス・キャピタル
・マネジメントに55億ユーロ(約9000億円)で売却すると発表した。
1998年のダイムラー・ベンツとの「世紀の合併」から9年、クライスラー
は投資ファンドの下で再建の道を目指すことになった。
ダイムラーの声明によると、同社は株式19.9%を保持し、販売や金
融サービスなどでクライスラーとの提携を維持する。懸案だった150億
ドル(約1兆8000億円)超の退職者向け医療費・年金債務はクライス
ラーが引き継ぐ。
ダイムラーのツェチェ社長は「ダイムラー、クライスラーの新しいスタート
に向けた環境が整った」と強調した。
ツェチェ社長は今年2月にクライスラー部門の売却を表明。サーベラス
のほか、投資ファンドのブラックストーン・グループ、カナダ自動車部品
大手マグナ・インターナショナルなどが買収に名乗りを上げていた。
クライスラー部門のラソーダ最高経営責任者(CEO)は続投する見通し。
サーベラス側はクライスラーの最高執行責任者(COO)を務めたウォルフ
ガング・ベルンハルト氏を役員として送り込む方針。
全米自動車労組(UAW)は当初、大規模なリストラも辞さない投資ファ
ンドによる買収に懸念を示し、マグナ・インターナショナルによる買収を望
ましいとしていたが、この日は「ダイムラー、クライスラーに最良の方法」と
歓迎する声明を出した。
(産経新聞)