2009/08/04
フォルクスワーゲン 新型ポロ 試乗レポート
日本のコンパクトカーは大丈夫か?
これほどクオリティが高いのか…。そう思わず感嘆の声をもらしたのは、
今年3月のジュネーブショーのこと。
この時ワールドプレミアされたVWの新型ポロにである。
シロッコ、ゴルフに引き続きヴァルター・デ・シルバの
指揮下でまとめられたデザイン。特にフロントグリル
周りにはVW新世代モデルに共通する水平基調の
構成が見て取れる。
サイドではCピラー根元部分でキックするサイドウイン
ドウの見切り線と、強めに傾斜するルーフ後半の線
などによって窓が絞り込まれ、ゴルフよりシンプルな
グラフィックながらスポーティな印象も醸し出す。
フロント側に比べ先代の面影を残すリア周りも、
水平基調のラインによってまとめなおされている。
リアハッチのオープナーはゴルフ同様にVW
マークが兼ねる。
従来比で前+29mm/後+30mm拡大された
トレッドにより見た目の安定感も増している。
実に7年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたVWポロは、遠目から
見た時点で既に極めて高いクオリティを有するクルマならではのオー
ラを放っていた。
丁寧に作り込まれたヘッドライト、Bセグメントはおろか、Cセグメントに
匹敵するほどの精緻なボディのプレスラインなど、どこから見ても完成
度が高く、まだ触れてもいないのに同クラスのベストであるのはもちろ
ん、1つ上のクラスでさえ太刀打ちできないのでは? と思えたほどだ。
室内も同様で、先に登場したゴルフとは室内寸法が異なるだけでク
オリティはほぼ同一。その印象は感嘆を既に通り越し、ある種の怖れ
すら感じるものだった。
「日本のコンパクトカーは大丈夫か?」と。
だから5月末にイタリアのサルデニア島で開催された国際試乗会で再
び新型ポロに対面したときには、クオリティの高さに関する驚きよりもむ
しろ、果たして中身がどうなのか? が気になって仕方なかった。
というのも新型ポロは、ジュネーブショーでも発表されたように、1.2リッ
ターの新開発TSIエンジンを搭載する初のモデルで、このパワーユニット
がいかなる実力を持つかがキモだと考えていたからである。
VWは既に兄貴分のゴルフをCセグメントの最上位に位置するプレミアム・
ハッチバックへとその座をスライドさせる一方で、パワーユニットは先代の
後期から採用する1.4リッターのTSIエンジンによってダウンサイジングを
果たしパラダイムをシフトすると同時に好評を得ている。
ならばそれに次ぐのはもちろん、今後を考えた時にはもしや主役になる
かもしれない1.2リッターのTSIが気にならないはずがない、というわけで
ある。
(カービュー)