2009/11/08
アウディQ5…スポーティーさと実用性を両立したSUV
アウディQ5は、先に登場したQ7より小型のプレミアムミッドサイズSUVである。
スポーツ・ユーティリティー・ヴィークルという意味のSUVは、誕生して数十年を経る
が、大小とりまぜて各自動車メーカーから様々なSUVが生まれてくるようになったの
は十数年前からのことだろう。そして、クロスオーバーSUVという車種が追加される。
アウディQ5も、クロスオーバーSUVの1台で、SUVとしての実用性を維持しながら、
その姿はクーペを思わせるような流れるラインが特徴だ。また走行感覚も、スポーテ
ィーなクーペのように壮快さに溢れている。
車体の大きさは、横幅がやや広めだが、全長は小型乗用車の範囲に納まり、実
際運転してみても、身近なクルマといった扱いやすさを感じる。多くの人に親しみや
すいSUVといえるだろう。
Q5には、2,000ccのターボエンジン車と、3,200ccのV6エンジン車があり、とも
にクワトロとアウディで呼ぶ4輪駆動である。今回試乗したのは、2,000ccターボエ
ンジンのほうだ。
運転中に思うのは、視線こそ高いが、これは普通の乗用車と同じようだという感触
だ。これだけ車高があるのに、カーブを曲がってもほとんど車体が傾くことはない。
スポーツカーに近いと言っていい雰囲気を伝える。
2,000ccのターボエンジンは、アクセルペダルのちょっとした動きにはそれほど
応答がいいわけではないが、少し強めに踏み込むとターボ過給が始まり、1.9トン
近い車両重量があるとは思えない俊足を見せる。
さらに、7速Sトロニックとアウディが呼ぶトランスミッションは、フォルクスワーゲン
のDSGと同じように、奇数段と偶数段それぞれに専用のクラッチを持ち、ギアチェン
ジする際には互いのクラッチの断続を手際よく行うことで、ほぼシフトショックなしに
次々にギアチェンジを行うことができる仕組みだ。
それを、通常は自動で行うが、ステアリングホイール裏に設置されたパドルシフト
レバーをドライバー自ら操作すれば、手動感覚でギアチェンジが瞬時に行える。
カーブでの車体の傾きの少ない操縦性と、ターボ過給による力強い加速、そして
Sトロニックを活かした切れ味のいいギアチェンジとによって、まさかSUVを運転して
いるとは思えない、活気ある運転を堪能できるのであった。
後席はたっぷり、荷室はすっきり
広々とした後席
クーペのような姿にもかかわらず、後席の広さはたっぷりとして、荷室も余計な出っ
張りのないすっきりとした広さを備える。こうした後席の居心地や、荷室の実用性は、
スポーティーな運転感覚とはまったく別の、SUVらしさを生み出している。
まさしくクロスオーバーという言葉が正しいように、スポーツカー的な運転感覚と、
乗用車やステーションワゴンのような実用性が一体となって混在している。
1台で、いくつもの要望を満たしてくれる、手頃な大きさのクルマだ。
(読売新聞)
関連URL : http://www.audi.co.jp/jp/brand/ja/models/q5/audi_q5.html