2010/05/15
VWゴルフ 1.2TSIトレンドライン
排気量が小さくても十分な走行性能
フォルクスワーゲンのゴルフに、
燃費性能を更新した車種が追加となった。
ゴルフTSIトレンドラインである。
フォルクスワーゲンは近年急速に、エンジン排気量の
ダウンサイジングを行っている。
これまで、1,600ccエンジンを搭載していた車種を、
ターボチャージャーによる過給付き1,400ccエンジンに切り替え、
燃費を向上させてきた。
今回はさらに、1,200ccのターボエンジンを登場させたのだ。
先に、1,400ccエンジンのターボチャージャー付きが登場した際、
私は「それで加速力が十分足りるのか」といったんは心配し、
それが無用であったことを@CARS上で報告している。
今回も、同じ様な心配を覚えながら試乗をしたのだが、
それはまったくの危惧(きぐ)であった。
十分な加速力と優れた燃費
1,200ccのターボエンジンは、新開発である。
そして排気量を小さくするだけでなく、
エンジン本体そのものの軽量化も行っている。
例えばエンジン本体のシリンダーブロックを鋳鉄から
アルミにしている。
その他、クランクシャフト、シリンダーヘッド、バルブ、
補機などもこまめな軽量化を行い、
1,400ccエンジンに比べ24.5kgも軽く仕上げられている。
軽さが燃費向上に効果的であるのはいうまでもない。
馬力は、当然ながら1,400ccエンジンに比べ
小さくはなっているものの、
実はかつての1,600ccエンジンの最高出力105馬力と同じ性能を、
この1,200ccターボエンジンは備えている。
ゴルフTSIトレンドライン運転をして感心したのは、
軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで、
スッと速度にのせていく滑らかな加速であった。
40km/h付近の市街地走行の速度まで、
ゴルフTSIトレンドラインはなんら頑張る様子もなく、
いとも簡単に走ってくれる。
高速道路でも同様に、
100km/hまで加速するのに何ら不足はないのだ。
そこで思ったのは、では、1,400ccのターボエンジンを
積むTSIコンフォートラインを選ぶ必要があるのかどうか
ということだった。
少なくとも、走行性能においては1,200ccターボエンジン
で不足がないことを確認できた。
そのうえ、燃費性能も、これまでのゴルフの中でもっともよい
17.0km/Lである。
大勢のジャーナリストが試乗する広報車に私が乗りこんだ際の
メーター表示には、平均燃費が12.2km/Lと記されていたが、
40分ほどの試乗中に13.8km/Lまでたちまち回復したのである。
上手に運転すれば、相当に優れた燃費を実現できるだろうという
手応えがあった。
「小型車の規範」着実に進化
1,400ccターボエンジンを積むTSIコンフォートラインは
何が違うかといえば、座席のシート表皮が異なる、
ステアリングホイールとシフトレバーのノブが革製となる、
運転席と助手席で独立式のフルオートエアコンとなる、
タイヤサイズが太くなりアルミホイールとなるなど、
装備が豪華になるのである。
とはいえ、1,200ccターボエンジンのTSIトレンドラインの
室内装備は不満を覚えるほど簡素というわけではない。
中には、このTSIトレンドラインに、1,400ターボエンジンの
TSIコンフォートラインに採り入れられた豪華装備が同じ様に
設定されれば嬉しいという人も出てくるだろう。
TSIトレンドラインは、エコカー減税とエコカー補助金の対象となり、
合計で最大38万3700円の優遇を受けられる。
1974年の初代誕生以来、世界の小型車の規範と言われて久しい
ゴルフは、着実に進化し、そして環境性能を一歩一歩高めているのを
実感した。
この1,200ccターボエンジンは、今後、ゴルフの弟分であるポロにも
採用され、日本市場にも導入される予定である。
(読売新聞)
関連URL : http://www.volkswagen.co.jp/cars/golf/main.html