2011/11/03

低燃費タイヤ 開発進む


「転がり抵抗」抑制がカギ

クルマと同様にタイヤメーカーも燃費の向上で競い合っている。クルマのタイプやユーザーの好みに合わせて低燃費タイヤの選択の幅も広がっている。(鹿川庸一郎)

 ブリヂストンが1日に発売した「プレイズRVエコピアPRV―1」は、同社初のミニバン専用の低燃費タイヤだ。

 7人乗りなどのミニバンは、ブレーキをかけた時にタイヤの内側に大きな重みが加わる。PRV―1は通常のタイヤと違って、道路と接する部分の形が左右で異なる。強い力が加わっても変形しにくいようにするためで、タイヤの内側には小さな「くぼみ」も多い。トーヨー(東洋ゴム工業)の「トランパスmpF」など、ミニバン専用の低燃費タイヤも左右が非対称のデザインが特徴だ。

 タイヤのゴムは、クルマが走るときに伸びたり縮んだりする。この時に出る熱は無駄になってしまう。こうしたエネルギーがクルマの燃費を悪くする「転がり抵抗」となる。

タイヤの転がり抵抗がクルマの燃費に与える影響は1~2割程度と大きい。通常のタイヤを標準的な低燃費タイヤに替えるだけで、クルマの燃費は4%程度改善するという。

 もちろん、ゴムの素材を工夫することも転がり抵抗を抑える有力な手段だ。

 乗用車用タイヤでは、ヨコハマ(横浜ゴム)「ブルーアース1」はタイヤの側面に細かいくぼみをつけることで空気抵抗を減らしている。同時に、オレンジから抽出したオイルを配合してゴムをしなやかにすることで、路面をとらえる力も高めた。トーヨー「スーパーエコウォーカー」、ブリヂストン「エコピアEP100S」も摩擦を抑えるために素材やデザインに独自の工夫を凝らした。いずれも最も燃費性能が高い「AAA」の認定を受けている。

 静かさと低燃費を両立させるタイプも登場している。

 ダンロップ(住友ゴム工業)の「ル・マン4」は、タイヤの内側にスポンジを埋め込んだ。タイヤの内側の空洞が生みだす騒音を吸収する仕組みだ。ブリヂストンの高級タイヤ「レグノ」シリーズで初の低燃費タイヤ「GR―XT」は音響工学の先端研究を取り入れた。クルマに乗る人が不快と感じる音を減らすパイプ状の消音器を埋め込んだ。




安全性との両立を追求

タイヤの燃費性能を知るためには、日本自動車タイヤ協会の定めた表示が参考になる。2010年1月から燃費性能を最上位の「AAA」から「C」までの5段階で表示している。転がり抵抗を基準に、上から3番目の「A」以上を低燃費タイヤと認定している。

 ただ、タイヤの転がり抵抗を抑えると、ブレーキをかけてからクルマが止まるまでの距離が伸びてしまうおそれがある。高い燃費性能と安全性を両立させるため、同協会は、ぬれた路面でのブレーキの効き目を示す「ウエットグリップ性能」も最上位のaからdまでの4段階で表示している。「d」以上でなければ低燃費タイヤとして売ることはできない。今年中には、低燃費タイヤ以外のすべての乗用車向けの夏タイヤにも「転がり抵抗」と「ウエットグリップ性能」が表示される予定だ。



(読売新聞)


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