2011/11/14

試乗レビュー:メルセデス・ベンツ Bクラス















プラットフォームからパワートレーンまで一新

2005年に発売開始されたBクラス。全世界で70万台という大ヒットを飛ばし、フルモデルチェンジを控えた今年の前半でも、まだ全体では21%以上販売が伸びていたというモデルだが、正直こんなに売れるとは思っていなかったんだとか(笑)。
 さらに、このカテゴリーはBRICS諸国ではまだまだだろうと思いつつも、昨年末に中国に従来型のBクラスを持ち込んだところ、あっという間に完売したそうだ。その実績を鑑みて、今度のメインマーケットは、自国ドイツを始めとする欧州市場の次は中国らしいが、そうはいってもメインは欧州。ここで人気とならなければ、台数は稼げないのはもちろんのこと、まだまだブランド信仰の高い中国でも、ブランドネーム力的に厳しくなってくる。
 そこで、今回のフルモデルチェンジでは、プラットフォーム、エンジン、トランスミッションまですべて新開発。メルセデス・ベンツでは、一度にこれだけの新装備を導入したことはないというくらい、新しさを盛り込んだモデルが誕生した。このプラットフォームは後ろ部分のみを二段構造にすることで、EVやFCVにも転用できるとのことなので、今後の展開にも目が離せないところだ。

このカテゴリーとしては高い空力性能。

スマートツールというコンセプトでデザインされたというスタイルは、スマートフォンなど若者の心に刺さるようなモチーフやアイコンが盛り込まれている。例えば、ブラックアウトされたピラーや窓など、サイドから見るとiPhoneを彷彿とさせなくもない。
 全高が55mm下げられ、全体のプロポーションは全長4359×全幅1786×全高1557mmといった具合。もちろん見た目だけでなくCd値=0.26(後日オプションとして導入予定のECOテクノロジーパッケージというエアロパーツを装着すると、Eクラス・クーペ同等の0.24)と、このカテゴリーにしてはかなり空力性能も高いものとなっている。
 インテリアは、最近のメルセデス・ベンツのアイコンともなっている、飛行機を想像させる十字型ノズルがあしらわれ、意外とスポーツティな雰囲気。質感も先代よりグッと高くなった。
 先代はコンパクトカーにしては着座位置が高く独特のフィーリングがあったが、今回は着座位置で86mm下がったことにより、いわゆる一般的なコンパクトカーに近くなり、違和感なく乗りやすくなっているのだ。

直噴ターボエンジンにDCTの組み合わせ。

 前述したようにエンジンも新型となっている。直噴4気筒1.6Lターボのガソリンエンジンは、90kW/200NmのB180と、115kW250NmのB200の、出力が違う2種をラインアップ。トランスミッションは、メルセデス・ベンツ社内で開発が行われた、初の7速DCTを搭載。アイドリングストップ機構も全車標準装備で、数値はまだ未公表なものの、燃費はかなりよさそうだ。
 フィーリング的には、ドイツのアウトバーンや、平均速度が高い一般道などで乗ると、どちらも正直パワフルではない。ただ、ストップ&ゴーが多く、平均速度の低い日本の街中ではベストマッチだろう。
 アクセルペダルも国産車に近い軽めのフィーリングで、飛び出し感もないのでスルリと発進できるし、ストップ&ゴーの多い交通シーンでも、CVTのようなシームレス感ある変速はストレスフリーだ。
 ちなみに今回は、B180のエンジンの方がコンパクトカーらしいキビキビ感が感じられたが、これが日本にやってきてどう変わるのかは、ひとつ気になるところである。

誰でも違和感なく運転できるだろう。

 シートポジションの調整幅がたっぷりと取られていて、小柄な日本人女性でも適切なポジションが取れるのは嬉しいポイントだ。目線も国産コンパクトカー+αの高さといった感じなので、違和感なく運転できるだろう。
 ハンドリングは、さすがはメルセデスといった感じで、サーボアシストシステムの電気モーターを、ステアリングギアに直接取り付け、デュアルピニオン式EPSとしたパワーステアリングは、イヤなフィーリングや変なクセもなく、非常に素直でライントレース性が高い、扱いやすいものに仕上がっていた。
 これにスポーツパッケージが付くと、ダイレクトステアリングシステムが加わる。ステアリング角が大きい場合のステアリングレシオがダイレクトなものになる機構で、先代よりもハンドリングと俊敏性が大幅に強化されているという。

気になる日本導入は来年の春を予定。

 新型Bクラスはグッと背が低くなって登場したが、室内は逆に広くなっている。前席ヘッドルームはクラス最大級の1047mm、レッグルームはSクラスを上回るクラス最長の976mmといった具合で、パッケージング効率がグッと上がっている。
 後席も、スライドは量が最大140mmと大きく取られ、それによりラゲッジルームも488~666Lまで変化するなど、フレキシブル性も高まっている。この大容量のラゲッジに加え、助手席背もたれ前倒し機構までついており、長尺物もOKというのだから、日本のお家芸シートアレンジも、だんだんと世界に広まっていると思えばいいのか、逆にこの手の日本のクルマもウカウカしていられなくなってきたのか。どちらにしろ、利便性が高まるのはユーザーにとっては好ましいことだ。
 安全性では、このクラスでは世界初となるレーダー衝突警告システムなどを標準装備。Sクラスなどに搭載されている装備を簡略化して、このクラスにも盛り込んできている。
 来春の日本導入に乞うご期待だ。
 ちなみに、日本に導入されるのは、このステアリングシステムに加え、重心を20mm下げ振幅選択型ダンピングを行うスポーツダンパーがセットになったスポーツパッケージのみとなるらしい。こちらの方がハンドリングはもちろんのこと、乗り心地もベターフィーリングだったので、導入に期待が掛かる。

(YAHOO自動車)


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