2011/11/18

ゴルフ カブリオレ




























10年ぶりの新モデル

ゴルフカブリオレは1車種のみで、価格は399万9000円 試乗車は、シルバーメタリックの車体に、茶色のトリュフレザーが組み合わされていた。他にブラックレザーも選べる 幌を開けた際、車体中央にピラーが残らないのが新型カブリオレからの特徴 幌を開けてもトランク容量は閉じているときと変わらない。後席背もたれを倒すトランクスルーも利用できる。 排気量1400ccのエンジンは、直噴ガソリンのツインチャージャー仕様で160馬力。燃費は、10・15モードで15.4km/L 折りたたまれた幌は後席後ろにきれいに収納され、カバーは不要。シートはクールレザーと呼ばれ、オープンのまま日なたに置いても表面温度を抑える 幌を閉じても、屋根が美しい弧を描いたシルエットを見せるのが、新型カブリオレの特徴。後席も十分に広い

 ドイツのフォルクスワーゲンから、ゴルフのカブリオレが発売された。前モデルから10年ぶりである。今回も、カブリオレへの改造は、コーチビルダー(架装業者)のカルマン社が行った。

 昔話を少しすれば、19世紀末にガソリンエンジンの自動車が誕生したとき、自動車メーカーが作ったのはエンジンと車台であり、車体は馬車製造者などが別途架装した。それが、コーチビルダーだ。

 新型ゴルフカブリオレは、現在のゴルフ6と呼ばれる最新ゴルフを基に、オープンカーへの改造がカルマン社の手によって行われた。

 エンジンは、1400cc直列4気筒の直噴ガソリンで、ターボチャージャーとスーパーチャージャーの二つの過給器を装備した、ツインチャージャー仕様により、160馬力を出す。このエンジンは、ゴルフ6のTSIハイラインに搭載されているのと同じだ。

 コンバーチブル化によって1470kgに車両重量が重くなったことに対応したエンジン選択である。そして、トランスミッションは、7速DSGと呼ばれ、二つのクラッチを利用した自動変速だ。

 今回のカブリオレから、幌を開けた際の姿が以前と違っている。従来は、運転席の後ろにロールバーのようなピラーが立っていた。それがあることによって、バスケットのような姿とも言われたが、今回からそれがなくなり、他のオープンカーと同じように屋根の全くない姿となった。万一の転倒への対応として、わずか0.25秒で車体からせりあがるロールオーバープロテクションという装置が設けられ、乗員の頭部を守る。この方式は、ビートルカブリオレと同じだ。

 幌の開け閉めは、どちらも10秒前後で終わり、しかも30km/h以下の速度であれば走行中も可能なので、信号の変わり目などを気にせず開け閉めすることができる。

オープンカー最適化にさまざまな改良

 さっそくオープンにして走った。付属の装備として、風の巻き込みを抑えるウインドディフレクターもトランクに積まれていたが、装着には2人掛かりになるとのことだったので、取り付けずに走り出した。

 左右のサイドウインドーも開けて走ってみたが、80km/hまでは風の巻き込みがそれほどうるさくなく、快適に走れた。100km/hともなると、さすがに腰回りまで風が巻き込んできた。そこで、サイドウインドーをあげると、そのうっとうしさはおさまった。速度無制限区間のあるドイツのアウトバーンでは必要かもしれないが、日本の交通環境では、ウインドディフレクターは使わなくても、広い速度範囲で快適にオープンを楽しめると思った。

 それほど風の流れがよく整流されている理由は、通常のゴルフと違ってフロントウインドーをより傾斜させているためと思われる。そのように、単にゴルフの屋根を切り取ってオープンに改造したわけではない。オープンカーとして最適なクルマであるように、車体各所が改良されている。

 他にも、オープンにした際の車体の揺れを抑えるため、車体の裏側(床下)に補強が追加されている。フロントウインドーの傾斜を強めただけでなく、フロントウインドーの大きさ自体も小型化したことにより、オープンで走行した際にフロントウインドーが左右に揺れたり、車体が振動したりといった不具合は、ほとんど感じなかった。

 カーブをやや速度を上げて走ると、フロントウインドーにやや揺れを覚えたが、幌を閉じれば、同じカーブでも、まるで屋根のあるクルマのようにしっかりとした感触を伝えてきた。

 幌を閉じて走ると、室内の静粛性に優れることに気付かされる。近年は、鉄板の屋根を折りたたんでオープンにするクルマも多いが、ゴルフカブリオレは昔ながらの幌であるにもかかわらず、その密閉性の高さに感心させられた。また後席に乗ってみたが、身長167cmの私が座っても、頭上も足元にもゆとりがあり、快適さは保たれている。

 幌を使うことによる利点は他にもあって、折りたたんでオープンにしたときもトランクの荷室容量が変わらないのである。折りたたまれた幌はトランクへ収納するのではなく、後席後ろに折りたたまれ、そのままカバーの役目を果たすからだ。

 幌を閉じた際のスタイルも、とても美しい。幌は、現在のところ黒一色で、ドイツにも別の色の設定は今のところないという。

内装はすべて本革仕様

 室内は、4色の色違いが設定され、内装はすべて本革仕様だ。その本革はクールレザーと呼ばれ、日本の暑さに対応するため、表面温度を23度低く保持できる表面素材が用いられている。オープンで走る機会のあるクルマだからこそ、内装色にもこだわりが出ることだろう。5色の車体色とあわせ、自分らしさを表現する色選びが、楽しさを増す。

 走行性能に問題はまったくなかった。加減速に不足はなく、7速DSGによる滑らかな速度の伸びが心地よい。高速道路も快適に巡航できる。カーブを曲がる際に、スポーティーな味わいも楽しめる。

 前モデルに乗っていた人にとっては長く待たされた新型カブリオレの登場である。399万9000円(税込み)という価格は、輸入車のオープンカーとしてとても魅力的な値段であると思う。

(読売新聞)

http://www.volkswagen.co.jp/cars/golfcabriolet/main.html


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