2012/02/24
アルファロメオ ジュリエッタ
30年ぶりの復活
アルファロメオはイタリアの自動車メーカーで、その最新車種がジュリエッタである。ジュリエッタの初代は1954年に生まれているが、77年の2代目以降はずっと間があいており、新型は約30年ぶりに復活した3代目となる。
車体の幅は1.8メートルもあるが、全長は4.35メートル。日本の5ナンバー車、たとえばカローラほどの長さだから、それほど扱いにくい大きさのクルマではない。
エンジン排気量は1400ccと1750ccの2種類で、ともにターボチャージャーにより過給され、十分な力を発揮する。トランスミッションは6速で、二つのクラッチを使い分けて滑らかにギアチェンジを行う最新のオートマチック技術が採用されている。
印象的な外観 こだわりのインテリア
新型ジュリエッタは、まずその姿がとても印象的だ。車体前端のグリルは、伝統的な盾の形をした縦型の空気取り入れ口が特徴的で、これを見ればクルマファンはすぐにアルファロメオだとわかる。
ヘッドライトの補助灯とテールランプにはLEDが使われ、ポジションランプと呼ばれるヘッドライトの補助灯はエンジンを始動すると点灯し、日中でもバックミラーで存在がわかりやすい。また、テールランプはブレーキランプが点灯するとLEDがテールランプのデザインにそって点灯し、その美しさにハッと息をのむ。
スプリント(Sprint)と呼ばれる廉価モデルに乗り込むと、ダッシュボードに車体色と同じ色遣いがされていた。普通、ダッシュボードは樹脂や木目などで飾られるが、車体に塗装された色と同じ配色がなされたこだわりに、目を奪われる。
クルマとしてただ走行感覚や乗り心地がよいというだけでなく、LEDが点灯する様子や、ダッシュボードに車体色と同じ配色がなされていることなど、ジュリエッタはそれを所有し、乗っている自分を周囲にアピールし、もちろん乗っている喜びも…と、様々な魅力を実感させてくれる。
気分のよい走りを実感
いざ走らせてみると、新開発の6速トランスミッションの小気味よいギアチェンジと、ターボチャージャーで過給されたエンジンの適度な力加減が調和し、テンポよく速度を上げていく様子が気持ちよく、スピードを出しながら、どんどん走りたい気分にさせられた。高速道路を、100km/hでスイスイ走るうれしさにあふれている。
市街地でもハンドル操作に対するクルマの動きが素直、かつ俊敏だ。ここにもテンポのよさがうかがえる。
座席はゆとりある大きさで、テンポのよい走り味を満喫させるように体をしっかり支えてくれ、落ち着いて運転を続けられる。この座り心地の豊かさが、新型ジュリエッタを楽しませるうえで大切な要素となっている。
新型ジュリエッタには、ほかにスプリントと同じエンジン性能で、より装備を充実させたコンペティツィオーネ(Competizione)と、エンジン排気量が1750ccとなってさらに高性能なクアドリフォリオヴェルデ(Quadrifoglio Verde)という2車種がある。
タイヤサイズがより太く扁平になるほか、シートヒーターが組み込まれたレザーシートになるなど装備の魅力が増えるが、乗ってうれしい、走って楽しい様子は、スプリントで満たされる。そして、318万円というスプリントの価格も身近でうれしい。
クルマを走らせるって、こんなに気分のよいことだったのだ、ということを、改めて思わせる新型ジュリエッタである。
(読売新聞)