2012/03/11
3代目 VWビートル…初代の良さ、アレンジ
フォルクスワーゲン(VW)の新型「ビートル」の予約が4月以降に始まる。知らない人はいないユニークなスタイルを受け継ぎつつ、現代的にアレンジした新型は、新たなブームを巻き起こせるか。
「ザ・ビートル」
一見してわかるように、初代VW「タイプ1」(通称・ビートル)の復活版となる。
初代は、1938年に誕生した。大衆車として世界中で愛され、2003年7月の生産終了までに、四輪自動車としては世界最多となる2152万9464台の記録を打ち立てた。
日本には、1953年の初上陸から、ドイツでの生産が終了した78年までに8万8910台が輸入され、「カブトムシ」「ワーゲン」などと呼ばれ、親しまれた。
新型は「ザ・ビートル」と名付けられた。98年にデビューし、2010年に生産が終了した「ニュービートル」の後継で、3代目となる。しかし、今回は2代目の改良ではなく、あくまでも初代の良さを、現代的に再解釈したのだという。
まず外観は、半円三つをモチーフにした「ビートルらしさ」を踏襲した。特に横から見たシルエットは初代と重なる。ヘッドライトもVWで唯一の丸形だ。それでいて、より長く、広くなったボディーは、スポーティーさを感じさせる。
全長は4270ミリ、全幅は1815ミリ、全高は1495ミリと、先代よりもひとまわり大きくなった。
エンジンは、排気量1・2リットルのターボ付きで、最大出力は105馬力と1・8リットル級のパワーを持つ。燃費は、1リットル当たり17・2キロ・メートルと、先代の1・6リットルモデルと比べて、48%も改善した。後部にエンジンがあり、後輪を駆動した初代とは異なり、前部のエンジンで前輪を駆動する。
「ボックス」再現
内装も初代を意識し、助手席側の前部には、初代同様、上にふたが開く「ビートルボックス」と呼ばれる収納が再現された。
「ゴルフ」がベースとなっているだけに、デザイン重視の2代目では狭かった後部座席にも余裕がある。初代でエンジンルームだったスペースは荷室となり、容量も4人乗車時で310リットルと、先代を101リットル上回る。後部座席をすべて倒せば、最大905リットルまで広がる。
もちろん、サイドエアバッグなどの安全装備やエアコンなどの快適装備は、他のクルマに引けを取らない。
日本には、3グレードのうち中間の「デザイン」が導入される。まず本革シートのレザーパッケージ仕様(303万円)が今夏以降に販売される。布製シートのファブリック仕様(250万円)が追って導入される。
意地悪な見方をすれば、特別なデザインを施した「ゴルフ」と言えるのも事実だ。グレードが選べないのもマイナスだ。しかし、それらを補って余りある「楽しさ」や「持つ喜び」を提供してくれそうだ。
輸入車販売比率 昨年は過去最高
2011年の輸入車販売台数(日本メーカーの逆輸入車を除く)は、前年比13・1%増の20万5857台と2年連続のプラスだった。国内新車販売台数(軽自動車を除く)に占める輸入車の比率は7・7%と、1966年の統計開始以来、過去最高となった。
ブランド別上位3社はドイツ勢が占めた。VWが8・4%増の5万635台で12年連続の首位、2位はBMWで5・5%増の3万4195台、3位はメルセデス・ベンツで7・4%増の3万3212台といずれもプラスだった。
東日本大震災による国産車の供給不足もあるが、エコカー補助金の対象車が増えたことも大きい。今年も輸入車の好調が続きそうだ。
(読売新聞)