2010/02/06
メルセデス・ベンツ TecDay Eドライブ 試乗レポート(3/4)
燃料電池車はガソリン車と見まがう完成度
サンドイッチフロアの下に複雑な燃料電池システムを押し
込んだBクラスF-CELL。
エンジンコンパートメント内にはモーターとスタックに酸素
(空気)を供給するエアモジュール、前席フロア下には燃料
電池スタック、後席にかけては700気圧の高圧水素タンク
が3本配置される。
発電システムをもつため、荷室フロア下のリチウムイオン
バッテリーパックは小型だ。
試乗してみた感想を続けよう。
ともに、第二世代に突入していることもあり、完成度は高い。
特にメルセデスは燃料電池車にありがちなブロアー/コンプレッサー
(燃料電池に空気を供給する)音がとても巧く抑えられていて、
進化を直感できる。
100kW の電気モーターによる走りは、モナコの勾配ある
ワインディングでとても使いやすくエンジン+変速機より思い通りに
駆動力が得られる。
このモデルから水素の最大貯蔵圧を70MPa(従来型は35MPa)と
しているが、その恩恵は航続距離であり、今回の試乗で未確認と
なるのは残念だ。
車両パッケージングも優秀で、Aクラス/Bクラスに共通する
サンドイッチ構造を持つフロアパネルの恩恵で水素貯蔵容器を
搭載しても室内スペースへの影響はない。
また、1.4kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーも搭載するが、
これは、メルセデスSクラスハイブリッドで採用されているリチウムイオン
バッテリーとも基本設計を共通化しているため、
冷却システムまでを含みとてもコンパクトに仕上がっていて、
同じく室内スペースへの影響はない。
従って、乗り始めた直後は電気モーターのトルク/出力特性から
その新鮮さを直感するのだが、その走行感覚にも慣れてくると、
他はエンジン仕様のBクラスそのものであり、“ただの”「ユーティリティに
優れ、何だが乗りやすい、小型ワゴン」と思える“勘違いモード”に
突入してしまう。
その理由は後で説明するが、それだけ完成度が高く小規模ながら
量産体制に入った事を窺わせてくれる。
モナコの山岳地帯を軽快に快適に“勘違いモード”で走行していると、
道路わきにたまたま居たBクラスユーザーの強い視線で、
我に返るくらいだった。
外観からはステッカーにより、燃料電池車であることが、わかるのだ。
(カービュー)