2010/04/28

ポルシェ ケイマン  ~運転する喜びに浸れる爽快なスポーツカー~

運転する喜びに浸れる爽快なスポーツカー


クーペモデルのケイマン。
手頃な大きさのスポーツカーだ

 ポルシェ・ケイマンは、2005年に新登場した2人乗りで
ミッドシップのハッチバッククーペである。

ケイマンには、ポルシェ独特の水平対向6気筒エンジンのうち
排気量2,900ccエンジンを搭載するケイマンと、
大排気量3,400ccエンジンのケイマンSの2種類がある。

 今回試乗したのは小排気量エンジン搭載のケイマンの
ほうである。

 小排気量といっても、最高出力は265馬力もある。

これにツインクラッチ式の7速トランスミッションが
組み合わされている。

車体の幅は1.8メートルあり、やや広いと感じるが、
全長は小型車並みの4.3メートルしかなく、
いざ運転してみると、とても手頃な大きさの
スポーツカーであるのがわかる。

高速走行に磐石の安定感


陽の光に輝くガーズレッドと
呼ばれる赤い車体

 ガーズレッドと呼ばれる赤い車体は、
陽の光にまぶしく輝いていた。

運転席に座ると、ほどよく包み込まれた空間となっていて、
運転に集中できそうな雰囲気を伝えてくる。

エンジンを始動すると、背中からエンジン音が届いた。

まさにドライバーの背後にエンジンが搭載され、
昔ながらのポルシェ911シリーズ(リアエンジンなので、
後席の後ろにエンジンがある)とは違う、
ミッドシップならではの、エンジンとの一体感を覚えさせる。


ほどよく包み込まれた運転席

 ツインクラッチ式の7速トランスミッションは、
オートマチックと同様に運転でき、
ポルシェだからと気負わせるところはない。

シフトレバーをDレンジに入れ、
アクセルペダルを踏み込めば走り出す。

 265馬力エンジンとはいえ、実に穏やかな発進だ。
ここでも安心させられる。

また、1,400kgある車重がそれほど重く感じられないのも、
エンジンと人を車体中心に置いて、重さのバランスが
取れたミッドシップだからだろう。
車体が身軽にさえ感じる。

 ごく普通にアクセルペダルを踏んでいるつもりが、
たちまち100km/hに到達するその走行性能の高さには
感心させられた。

運転している方は、まったく気負っていないのに、
高速走行を当たり前のように実現してみせる。

また、100km/hに達した後も、なんら緊張感はない。

走りは、地に足の着いた盤石の安定感を示す。

快いクルマとの一体感


人車一体感のあるハンドリング

 エンジンが小気味よくリズムを刻む。

ステアリングホイールには、タイヤが回転する様子がまるで
手にとるようにわかり、タイヤが路面を確実にとらえていると
いう安心感を伝えてくる。

カーブへ向けてステアリングホイールを回せば、
狙い通りに弧を描き、その先の直線に再びぴたりと収まる。

 こうした運転の様子は、どんなクルマであっても
当たり前であるべきだが、ポルシェ・ケイマンは、
それをより簡素に直接的に全身に感じさせるのである。

背中から聞こえてくるエンジンの音はそれなりに大きく、
ラジオをつけてもボリュームを上げなければよく聞こえないが、
ラジオに耳を傾けているより、エンジン音の中にあることのほうが
心地よいと思わせるほど、クルマの中へ自分が溶け込んだかの
ような居心地はなんとも快い。

 ケイマンには、6速マニュアルシフトのトランスミッション車もあるが、
今回試乗したツインクラッチ式7速トランスミッション車は、
721万円である。

もちろん、安い買い物ではないが、手の届かない価格ではなく、
実現可能な夢の範囲にある。

手に入れるかどうかはともかく、クルマを運転する喜びに、
前述のような感覚があるのだということを一度でも
味わってもらいたいと思う。

そういう素の良さを惜しみなく体感させる爽快なスポーツカーだ。

                            (読売新聞)

関連URL : http://www.porsche.com:80/japan/jp/models/cayman/


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