2010/05/21

ポルシェ カイエン 試乗レポート【前編】(1/3)



大幅な軽量化



写真はカイエンSハイブリッド。
ウインドウグラフィックをはじめとするデザイン要素は初代から
引き継いでいるが、より細く寝かされたピラー類などによって、
スリムかつスポーティな印象を強めている。
ヘッドライトやLEDのデイタイムランニングライト周りの印象も
シャープになった。
サイドエアインテークのグリルはカイエンSとカイエンSハイブリッド
ではブラックに、ベースのカイエンではボディカラー同色に塗られる。
また、ターボは他のモデルと差別化されたデザインが与えられる。




こちらはカイエンターボ。
単色では分厚く見えてしまうバンパーの下半分をブラック
アウトする手法はゴルフVあたりにも通じるか。
本文中にもあるように軽量化が徹底されドア、エンジンフード、
テールゲートだけで39kgもダイエット。
フェンダーもアルミニウム製となる。


 果たして、“どれほど”ポルシェか?

 先日の富士スピードウェイで試したトップ・オブ・ポルシェ、
911ターボの余韻冷めやらぬまま、ポルシェのライプチヒ工場で
新型カイエンと対峙し、そう思った。

 ご存知のようにカイエンは近年のポルシェ躍進の立役者
である一方、VWトゥアレグやアウディQ7とメカニズムの多く
を共用して誕生した経緯がある。

 もちろん先代はそれでもなお、「らしさ」を表現したが、
クルマづくりに効果・効率・共用が強く求められるこの時代に
あって、果たしてどれだけポルシェでいられるのか? 
が気になる。

 が、往々にして試乗記書き出しでのこの手の心配は、
中段以降で「杞憂だった」が相場。
 なので早々に結論付けるとやはり杞憂だった。
 しかし、意外だったのは新型における“ポルシェ度”を
僕が最も強く感じたのは、今回の目玉であるハイブリッド
だったこと。

 その意味でも今回の主役はハイブリッドだが、まずは
新型カイエン・シリーズの特徴と非ハイブリッド・モデルに
ついて話を進めよう。というのも確かに存在としても数値で
見てもハイブリッドの効能は大だが、それはシリーズ全体
における地道な積み上げがあるからこその話だからだ。

 新型カイエンは先代比で最大23%も燃費低減を達成したが、
そうした数値を影で支えるのが軽量化技術だ。

 全長で48mm、全幅で11mm、全高で6mm、
ホイールベースで40mmとサイズアップしたにも関わらず、
カイエン・ターボで先代比-185kgを達成している。

 その手法は主に、トレンドである高張力鋼板を巧みに
用いたことによるが、これまで以上の強度を得つつ
ボディだけで111kgの軽量化に成功している。

 もともと重いんだからマッチポンプだって? 
でも、お腹を気にしつつもお酒やお肉が我慢できない
自分に比べ、ダイエットに成功して引き締まったボディ
の他人って尊敬できるし羨ましい。

 それに軽量化が燃費削減に効くのは確かな話だし、
何よりこの手法が後で述べる“らしさ”の重要な要素なのだ。

                          (カービュー)


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