2011/03/01

シャラン…快適で実用的「世界最高」





 




 

 

 



 

 

 

 



 

 

 











予約開始、VW新型ミニバン

 フォルクスワーゲン(VW)が、新型ミニバン「シャラン」の予約受け付けを開始した。充実した装備と抑えた価格で国産車と正面から競うことになる。ミニバンが新車販売台数の3分の1を占める「ミニバン大国」日本市場にとって「黒船」となる可能性も秘めている。

 シャランという車名は、「自由、旅行好き、独立、生きる喜び」をイメージした造語で、実は初代が1995年にデビューしている。日本でも97年から99年にかけて約1200台販売されたので、覚えている人もいるだろう。

 15年ぶりのフルモデルチェンジとなる今回は、日本のミニバンも研究した上で「世界最高のミニバン」を目指し、快適性と実用性を融合させたという。

 車体のサイズは、室内空間を広げ、質感を向上させるため、先代よりも全長を約230ミリ、全幅を約90ミリ拡大した。

 エンジンの排気量を小さくして低燃費化を図るVW流の「ダウンサイジングコンセプト」はミニバンも例外ではなく、排気量で比べれば、先代の半分になった。大きなボディーに搭載されたのは、わずか排気量1・4リットルのエンジン。すでに日本でもおなじみの「ツインチャージャー」で、ターボとスーパーチャージャーという2種類の過給器を備え、2・5リットル車並みの十分なパワーが得られる。

 さらに、日本で販売するVW車としては初めて、信号待ちなどで停車するとエンジンを停止させる「アイドリングストップ機能」や、「エネルギー回生システム」を採用した。

 この結果、ガソリン1リットル当たり14・0キロ・メートルの低燃費を実現し、全モデルがエコカー減税の対象となった。

輸入車だから使い勝手が悪いのでは――という心配も無用だ。

 後部のドアは、もちろん乗り降りのしやすい両側スライド式で、電動開閉機能が付いている。2列目のシートは、三つが独立してリクライニング(最大20度)し、前後にスライド(同16センチ)させることもできる。また、背もたれのレバーを操作すると、シートの後部が持ち上がると同時に前方にスライドする。3列目にも乗り込みやすい。

 さらに、2列目、3列目のシートは、取り外さずにワンタッチで倒すことができ、フラットで広い荷室が出現する。

後部のドアは電動開閉機能付きの両側スライド式で乗り降りしやすい=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン提供

 国産の大型ミニバンの一部が“人間専用”と割り切ってしまっているのに対して、シャランの荷室容量は、7人乗車時で300リットルで、3列目を倒すと1167リットルになる。さらに2列目も収納すれば2297リットルまで拡大する。大きな冷蔵庫も運べそうなほど広い。乗用やキャンプ用だけでなく、業務用としても使えそうだ。

 インテリアは豪華ではないが、上質だ。エアコンは、運転席、助手席、後席のそれぞれについて温度や風量を設定できる。

 後部座席のシートベルトの装着状況をモニターで確認できるほか、駐車時には前後の障害物との距離を確認できるシステムも標準装備した。開口部の広い大型のサンルーフもオプションで選べる。

 日本自動車販売協会連合会によると、2010年の乗用車販売(軽を除く)約323万台のうち、3列シートのミニバン(一部2列シートを含む)は約3割の95万台を占める。VWは、シャランの販売台数の約半分が、国産からの買い替えと見込んでおり、主戦場で国産車と真っ向から対決することになる。

 シャランの価格は400万円前後で、国産ではトヨタ「アルファード」や日産「エルグランド」がライバルとなる。

 この2台と比べると、幅が広い代わりに全高が低い。見た目は「大きなゴルフ」といった印象で、よく言えばスマートだが、大型ミニバン特有の迫力がないとも言える。

 外観は威圧感のある国産車と一線を画しており、好みが分かれるだろう。全幅が1900ミリを超えていることも、駐車場が広くない日本ではマイナスになるかもしれない。

 

( 読売新聞)

http://www.volkswagen.co.jp/cars/sharan/main.html


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