自動車新聞から

2011/05/25 ちょっとしたお話


 安物買いの銭失いとはよく言うが、少しの出費をケチるとあとでそのツケを支払う目にあう。

 

3月の地震直後、愛車を定期点検に出した際、

「バッテリー、そろそろ替え時ですが」の言葉に、財布の中身を計算しながら、

「まだ大丈夫だろう」と自分に言い聞かせ、交換を断った。

 

それから2ヵ月後、バッテリーは上がり、JAFに救援を頼むはめになった。

 

そのふた月は地震の混乱、ガソリン不足と高騰など異常事態の中で、

クルマを利用する事を「自粛」、エンジンを一度もかけないまま。

 

弱っていたバッテリーは自然死を迎えた。

 

久しぶりにクルマで出かけようと計画した週末の計画は3時間遅れ。

家人の非難の言葉に耐えるしかなかった。

仮に2ヶ月、交換時期を先送りしたからといって、今後の交換回数を減らせるわけではない。

あの時けちな考えを出さなければ、無駄な時間を使う必要がなかった。

メカの言葉は素直に聞くものである。

 

後悔ばかりの終末だったが、発見や収穫もなかったわけではない。

救援に来てくれたロードサービス隊員は以前にも増して親身で丁寧な対応だったこと。

バッテリー交換を待つ間、1時間余りを過ごしたディーラーのショールーム。

こんな時と思っていたが、意外にも来場客でにぎわい、活気にあふれていた。

 

(日刊自動車新聞記者)


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