「いきなり甘いもの」は禁物

2011/03/29 ちょっとしたお話


 パーティでは最初に主催者やゲストなどのスピーチがあり、乾杯へと続く。

その後、待ちに待った美味にありつくという流れが通常だろう。

 

女性の多い会場では、とてもパワフルな飲食光景に遭遇することがある。

「ゆっくりと料理をお楽しみください。」と司会者から促され、われ先にと走り寄るコーナーがある。

ケーキ類など甘いものが色とりどりに並べられたテーブルだ。

皿からはみ出さんばかりにあれこれと盛り込み、友人のいるテーブルへと引き返す。

まだ食事も始まっていないのに、デザートを先に確保しておこうというわけだ。

 

しかし、飲食の順番というのは、案外健康を左右する。

 

日本料理にしろ洋風なものにしろ、いきなり甘いものをほおばれば、

後に来る料理の淡い味わいが台無しになりかねない。

その上、甘い物は血糖値を急激に上げやすい。

大量の甘い物はまだ十分にお腹が満たされていない、

言い換えれば十分な栄養が摂取されないうちに、

偽の満腹感を早々に感じてしまう。

 

やがて1時間もしないうちに、今度は空腹がやってくる。

 

さっき食べたのに、また何か食べたくなる。

こういう悪循環が、食べ過ぎや消化不良などを引き起こす。

食事の最初は、食欲を促す小鉢に盛られた酢の物やあえ物、洋風なら前菜やアミューズと呼ばれる小ぶりな一皿がふさわしい。

 

糖尿病の管理が行き届いた人が実践している食べ方は、

食事は、まず、たっぷりの野菜サラダか温野菜の一皿という声が多いのもうなずける。

 

宴の後、食べ散らして残されたケーキ類を見て思う飽食。

食育は幾つになっても必要だ。

 

荒牧 麻子(食卓プロデューサー)


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