”敵討ち”

2009/05/16 安田 和弘


 

「不倶戴天(ふぐたいてん)」という言葉があるそうです。

“親を殺した人間とは一緒の天の下で暮らさない”という

意味で、出典は古代中国の儒教経典だそうです。

 

最近ハマッて読んでいる吉村昭氏の小説の一つに

「敵討(かたきうち)」という本があります。

 

明治時代に入って廃止された“敵討”を題材にした

中編が二つ収録されております。

 

「惨殺された父母の仇を討つ-しかし時は明治時代。美風として賞賛されていた

敵討ちは、一転して殺人罪とされるようになっていた、、、。」という

見出しの「最後の敵討」という話。(もちろん実話で有名な話だそうです。)

 

「父と祖父を殺した男は、権勢を誇る幕臣の手先として暗躍していた、、」

という幕末の話である「敵討」という話。

 

(ちなみに、正月に見ると縁起が良いとされる“一富士、二鷹、三なすび”という

夢も、江戸時代の有名な3つの“敵討ち”のことだそうです。)

 

他の作品と同じく、この作家特有の史実の細かい取材を元にした

脚色は必要最低限の文章が最後まで続き、現実感に圧倒される

独特の読後感を感じる本でした。

(最近の尾ひれ背びれの付きすぎた脚色だらけの小説をずっと読んでいると

かえって新鮮に感じております。)

 


 

昨今、親殺し、子殺しなどという事件があとを絶ちませんが、

紀元前から人間の根源的感情である親を敬う気持ちがたったここ

100年あまりで如何に失われてきているか?

などということを考えさせられる話でありました。

 

最近老眼が進み、本を読むにも老眼鏡が必需品になりつつある安田でした(笑)

 


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